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建設新聞社
2018/03/28

【東北・宮城】メーンキャンパスは一関市、奥州市に/東北ILC準備室がマスタープラン概要版を公表

 東北ILC準備室(室長・鈴木厚人岩手県立大学学長)は26日、北上山地への国際リニアコライダー(ILC)受け入れのための広域基本計画となる「ILC東北マスタープラン」の概要版を公表した。この中で、盛岡市から仙台市に至るエリアをコアゾーンに設定し、既存市街地と研究開発拠点施設を密接に連携させるとともに、メーンキャンパスの場所を岩手県一関市または奥州市に設定。キャンパスを核に、先端産業や地域交流機能を集積させていくとした。
 概要版によると、ILCの建設・運用を契機に▽震災からの復興▽世界に開かれた地方創生▽世界的なイノベーション拠点の形成―を新たな東北の目指す姿に位置付け、東北の持つ多様な資源(交通基盤、地元企業、食、観光など)と人や技術を結び付けてイノベーションを創生していくことを狙いとしている。ILCをきっかけとした東北の発展においては、各都市のポテンシャルを生かしながらILCの効果を最大限発揮できるよう、盛岡市から仙台市までのエリアをコアゾーンに設定した。既存市街地と研究開発拠点施設を密接に連携させることで、人やモノの交流を促し東北、日本全体へ波及させていきたい考えだ。
 ILCの建設から運用に当たっては、全長20`b、事業費総額約5000億円に上る巨大プロジェクトであることから、大学や研究機関、民間企業などが連携したオールジャパン体制で進める必要性を強調。整備に関わる役割分担として、ILC本体施設や研究・管理棟などの非収益施設と、既存インフラ、外国人研究者向け集合住宅、宿舎などの建設を公共事業体が当たり、手法としてPFIの導入も検討する。一方、ILC周辺部に整備される商業施設や住居施設、宿泊施設などについては民間投資を促すとした。
 また、ILC本体は奥州市から一関市にかけての北上山地を見込んでいることから、研究施設などが集積するメーンキャンパスの場所を一関市または奥州市と明記。メーンキャンパスを核に、先端産業や地域交流機能を集積させていく。
 大型の国際プロジェクトであることから、プランでは段階的な発展フェーズも設定しており、ILC誘致の政府決定からおおむね4年を準備期、着工からおおむね9年を建設期、運用からおおむね10年を適用期、運用からおおむね20年を成熟期として、各段階での展開を図っていく。
 準備室の鈴木室長は「ことし12月までにILC誘致を政府が判断しなければ、日本への設置はなくなる。そのために、国内におけるコンセンサスづくりと政府から前向きな姿勢を引き出す環境形成を目的に、概要版を作成した」と話し、政府の最終判断に向け社会への理解促進に努めていきたい考えを示した。

 提供:建設新聞社