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建通新聞社(東京)
2018/03/30

【東京】沿道建築物耐震化で都検討委が報告書

 特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化促進に向けた検討委員会(委員長・加藤孝明東京大学准教授)は、東京都が今後取り組むべき施策を報告書にまとめた。耐震化の意思のない建物所有者に対して、特に倒壊の危険性の高いIs値(耐震指標)0・3未満相当の建築物を優先的に指導することを求める。費用やコストに配慮した段階的な耐震改修も選択肢の一つとして建物所有者に周知し、区市町村に助成対象とするよう働き掛けることも提案した。占有者の協力が得られず耐震化を進められないケースに対応するため、占有者の移転費用や移転先の家賃など経費の一部を支援する仕組みを構築することも提言している。都は今後、この報告書を基に制度検討などを進めていく。
 同委員会では、耐震化を促すための取り組みを@耐震化の意思などを有していない建物所有者への実効ある対応A建物所有者の取り組みに対するさらなる支援B賃貸建築物などの占有者から協力を引き出すための方策―の大きく三つの観点から示した。
 耐震化の意思のない建物所有者に対しては、耐震化推進条例に基づく指導や指示を、指針を定めて積極的に行う。その際、Is値0・3未満相当の建築物を優先するなど、優先して取り組むべき建築物をあらかじめ示すことが必要だとした。
 耐震化の意思を持つ建物所有者への施策では、建物所有者の課題を的確に把握し、耐震化を実現できるまで継続的に助言することができる仕組みの整備を提言。建築士などアドバイザーの負担軽減策も併せて検討すべきだとした。
 また、耐震改修費用に関するデータを集計・加工し、都民や建物所有者に情報提供することで、耐震改修の検討や工法の比較検討に役立てることも有意義だと指摘。1平方b当たりの耐震改修費用を、建物用途別や規模別など複数の切り口で分析するなど、建物所有者の参考になる工夫もするよう求めた。
 さらに、Is値が0・3未満の耐震性が特に低い建築物では、費用負担や合意形成の面からIs値を0・6以上にする耐震改修を一度に行うことが難しいことから、段階的に耐震改修を行うことも選択肢として提示。建物所有者に段階的な耐震改修の利点などを周知するとともに、区市町村に助成を行うよう働き掛けることを提案した。
 占有者の協力を得るための方策では、まず耐震化推進条例に占有者の責務や耐震化への協力を依頼する規定を位置付け、占有者の協力を得やすくするための環境を整える。その上で、占有者の移転を伴う耐震改修を実施する際、移転費用や移転先の家賃など必要な経費の一部を支援する仕組みを検討するよう求めた。

提供:建通新聞社