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建通新聞社(中部)
2018/03/29

【愛知】名古屋市 夏ごろに事業者公募 中村区役所移転改築

 名古屋市市民経済局は、「DB+O方式」による移転改築を計画している中村区役所について、夏ごろに事業者の公募手続きを開始する考えだ。また、区役所や保健センター、土木事務所、市税事務所といった施設を収める公共棟を敷地北側、DBの事業者が民設民営で整備する民間棟を南側、広場を西側に整備する配置案をまとめた。事業者提案に応じて変更する可能性もあるが、こうした施設配置が基本となる。
 同区役所の建て替えに際して採用したのは、市が設計・建設を一括して民間事業者に発注した上で、別途、長期にわたる施設の運営・維持管理を民間に委託する「DB+O方式」。資金調達や施設所有は市が担うため、PFIではなく公設民営的な手法となる。ただし、今回の事業ではDB+Oで整備する公共棟と合わせて、敷地内に民設民営の民間棟も建設する。民間棟の整備もDB事業者が担うことを考えており、公有地の有効活用につなげるとしている。
 2018年度当初予算には2012万円を盛り込んだ他、19〜22年度の債務負担行為として限度額81億7400万円を設定した。
 当面の予定としては、この夏にも民間事業者の公募を開始し、年度内に契約までこぎつける。19年度は設計作業を進め、20年度に移転先の既存建物解体と建設工事に着手。供用開始は22年度を目指すとしている。
 建設地は旧本陣小学校(中村区松原町1ノ23他)。面積は1万0779平方b。建ぺい率60%、容積率200%となっている。用途地域は第一種住居地域。31b高度地区で、緑化地域(敷地の15%)でもある。
 新区役所の建設に際しては、旧本陣小がこれまで担ってきた災害時の避難所としての機能を代替できるようにする。敷地北側に配置する公共棟では、区役所と保健センター、土木事務所、市税事務所など、現在は分散している行政機能を集約するだけでなく、避難所機能も導入。既設体育館では避難所として約620平方b(200〜300人分のスペース)を提供可能だったため、同程度の避難所を公共棟に確保できるようにする。避難所の面積の確保に際しては、緊急時に会議室を一時的に避難所として活用することなども視野に入れる。
 敷地西側には広場スペースを配置。緊急時には一時避難所として利用できるようにする。面積は約2700平方bを見ている。
 南側には、民間の提案に応じて民間棟を建設する。
 既存の中村区役所は建築から50年以上がたち、既存区役所としては市内で最古。老朽化やスペース不足が課題となっており、転用は困難だ。また、地上4階以上がUR住宅と合築になっており、UR都市機構と協議して解体時期を決める。既存建物の規模は鉄骨鉄筋コンクリ―ト造地下1階地上10階建て延べ1万6502平方b。
 既存区役所の敷地の今後の用途も注目される。市は同区役所の改築事業を、18年度から新設するアセットマネジメント基金の初弾事業と位置付けており、既存区役所の跡地についても有効活用を検討する。付近ではリニア中央新幹線の開業を見据えた開発も見込まれており、活用の幅が広がりそうだ。

提供:建通新聞社