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北海道建設新聞社
2018/04/16

【北海道】小さなまちのボールパーク 日ハム球場北広島へ(下)

■アクセス、輸送力、成否の鍵
 JR北広島駅周辺には公共施設や病院、スーパーはあるが、これという繁華街はない。札幌駅まで16分という近さが、商売を難しくしているという。ボールパーク(BP)とそこに向かう駅周辺からのルートができれば、まちを象徴する市街地が生まれる可能性がある。
 球団が掲げる理念はスポーツコミュニティー。自分たちだけが発展するのではなく、地域との協働に重きを置く。スポーツと食がテーマのBPが地域を巻き込んで成長を続けることに加え、選手らがBPから飛び出して、学校の授業や講演会、イベントに協力する。
■まちは歓迎ムード
 BP内には、当然地元業者も出店する。テナント料をどうするかなど、地域経済に還元できる仕組みづくりも進めていく方針だ。
 球団の前沢賢事業統括本部長は「アクセス、輸送力は構想の成否に大きく影響する」との認識を示す。北海道は車社会。BPには最低5000台の駐車場を設ける。渋滞が客足を遠ざけないよう、アクセス道路の強化も必須だ。市は予定地南側を走る市道北進通を延伸させ、市道大曲椴山線と国道274号につなぐ道路2本の新設と現在の北進通拡幅を計画。全て4車線化を目指している。
 市道として整備するには時間がかかることから、道道としての整備に向けた協議を本格化する。振り替え制度で既存道道が市道に降格し、維持管理を担うことになってもメリットは確実にある。ただ、道路を整備し、BPの滞留機能を充実させ、駐車料金に差を付けるなど、車や人が一度に出ないよう渋滞緩和策を講じても、平日ナイター後などは一層の対策や工夫が求められるだろう。
■JRダイヤ不透明
 市は、交通影響評価調査での車とバス、JRの交通分担率シミュレーションをJR北海道に示して新駅設置の検討を求める。新千歳空港の観光客受け入れ体制強化もあり、千歳線は見直し時期を迎える。快速エアポートの増便は計画するが、過密ダイヤに加え、貨物との兼ね合いもある。BPを主眼に置くダイヤ調整は不透明感が漂う。
 新駅設置が実現すれば、北広島駅からBPへシャトルバスを走らせ、新駅ができない場合は自動運転車など新交通を導入する予定。
 札幌市内からのバス交通について、上野正三市長は「(地下鉄)福住駅、新札幌駅までのシャトルバスは当然考える」としていることから、バス事業者や札幌市との協議も必要となる。
■50年寝かせた構想
 総合運動公園構想が生まれたのは1970年。当時の人口は約9000人で、65haに野球場などを配置する内容だった。同年に入庁したスポーツ好きの上野市長は「すごい計画。いいなあ」と常に頭にあったという。しかし、財政状況から約50年間手付かずだった。
 課題は多いが、小さいまちだからこそのメリットも。上野市長は「小回りが利き、協議などが進むのが早い」と利点を挙げる。北海道らしい豊かな自然との近さも、大きなまちにはない魅力だ。
 半世紀寝かせた構想が、当時は想像すらしなかった姿へと変貌しようとしている。新千歳空港や札幌市との近さ、広大な敷地を生かし、ベッドタウンからの脱皮とともに、特定の企業に依存する城下町以上の主体的なまちづくりが望まれている。