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北陸工業新聞社
2018/05/23

【富山】発注者、コンサルらが工法学ぶ/ニューレスプ協会講習会開く/吹付のり面の耐久性を向上 

 富山県ニューレスプ協会(田中洋一郎会長)は21日、富山市の富山県民会館で、「ニューレスプ工法技術講習会」を開いた。発注者である県土木部と県農林水産部の担当者が参加したほか、建設コンサルタントや協会員から約70人が出席し、同工法の特長などに理解を深めた。
 協会は、老朽化した吹付のり面の補修・補強を行う「ニューレスプ工法」の普及促進に向け、昨年10月に発足。同工法は既設モルタル・コンクリート吹付面を、はつり取らずに有機繊維補強モルタルにより耐久性を向上させるもので、通常より工事の安全性が向上。産業廃棄物の処分も削減することから、環境に優しい工法として、「第18回国土技術開発賞 創意開発技術賞」を受賞している。
 講習会の開会に当たり、田中会長が、「30年以上が経過した既設吹付モルタルの剥離崩壊、劣化が顕著になっている。それを補修・補強して直すのがニューレスプ工法。対策の選択肢のひとつとして、この工法を頭の片隅にでも置いてほしい」とあいさつ。
 講習会ではまず、日特建設の山下忠彦氏が、吹付のり面の診断方法などを解説。吹付のり面の現状と要求性能、吹付自体の劣化、風化による地山強度低下などのポイントを説明した後、吹付のり面の点検では、「表面のひび割れを点検するテクニックが大事」と強調した。吹付のり面の健全性評価の事例を報告した上で、「ハード対策を選定する際の工法のひとつとして、ニューレスプ工法がある」と紹介。調査技術として、打音やコア抜き、熱赤外線映像法の要点なども説いた。
 続いて、日特建設の恵良桂司氏は、ニューレスプ工法の概要と適用事例を解説。「老朽化した吹付材を、はつり取らずに対策できるのが特長」と説明し、工法を構成する要素技術として、(1)補強鉄筋工(2)背面空洞注入工(3)せん断ボルト設置工(4)水抜きパイプ新設工(5)のり面清掃工(6)繊維補強モルタル吹付工―を挙げ、それぞれの標準仕様など、ポイントを紹介した。
 さらに、「ネクスコの土木施工管理要領改訂により、繊維補強コンクリート吹付工で要求される品質規格として、ニューレスプが認められた」と優位性をPR。工法の特長として、▽道路交通への影響低減▽狭隘地での施工が可能▽既設吹付と背面地山の密着を向上▽背面地山の定量的な補強が可能▽高い性能へ向上▽耐久性を向上―を挙げた。
 2010年度から17年度までの施工実績(全国)も紹介し、「全体で318件、施工面積は23万7015平方メートルに上る。1件当たり平均の施工面積は745・3平方メートル」と報告。適用事例を写真を交えて解説した。
 閉会にあたり、同協会の村尾英彦副会長が、「維持管理、安全を守る観点からも対策を進めることが待ったなしの状況。工法について疑問点があれば、協会に問い合わせてほしい」とあいさつ。

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