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建通新聞社四国
2018/05/29

【高知】高知県が南トラ対策本部会議 本年度の計画示す

高知県は24日、2018年度1回目の南海トラフ地震対策推進本部会議を開き、各部局が18年度に進める南海トラフ地震対策スケジュールについて示した。土木部では、春野総合運動公園にある野球場や河川・海岸施設の耐震化に向けた計画を示した他、道路啓開計画、高知駅秦南町線整備などの予定を挙げた。また、18年度が第3期行動計画の最終年度となることから、19年度から始める第4期行動計画の策定方針案についても協議した。
 各部局の南海トラフ地震実施予定のうち、土木部では7月に道路啓開計画.Ver3の策定に着手し、高知港海岸港町工区の調査設計、春野総合運動公園屋内水泳場のつり天井耐震工事、同公園体育館の防災照明施設LED化設計にそれぞれ着手する。道路啓開計画では、すでに協定を締結している建設会社だけでなく、重機リース会社にも協力を要請する考えで8月に調整を進める。8月には、この他に土佐西南大規模公園(大方地区)の放送設備設計・工事、高須浄化センター機械濃縮棟の耐震・耐浪化工事の残りに着手する。
 9月には、高知駅秦南町線の橋梁下部工の大半を発注、10月には舟入川堤防耐震化工事、舟入川鹿児第2排水機場耐震化工事、宿毛市の宿毛湾港海岸と大深浦海岸の工事を発注する。11月には春野総合運動公園野球場耐震工事を発注予定。
 他の部局では、危機管理部が推進本部会議を8月27日、11月22日、2月8日に開催する。11月の会議で第3期行動計画を総括し第4期行動計画を素案を示し、2月の会議で第4期行動計画案を策定する。また8月に石油基地等地震・津波対策検討会を開き、具体的対策をまとめる方針。
 教育委員会では、6月に県立学校ブロック塀の改修工事、7月に公立学校体育館天井材安全対策工事を発注する。また高知城山体の防災対策として、梅の段北側石垣復旧に向けた設計を6月に外注し、工事を11月に発注する予定。
 総務部では、県庁厚生棟の耐震化に向けた設計を6月に外注し、年度末に詳細設計の発注準備を進める。また、地震発生時に本庁舎・西庁舎・北庁舎が使えない場合の対応を検討し、代替候補地がない場合の設備改修費用を第3四半期に算出する。
 地域福祉部では、未耐震の社会福祉施設に向けた働きかけを進める。また民間の高齢者施設1カ所が高台移転を進める計画で、年度内に完了することが示された。
 文化生活スポーツ部では、私立学校施設の耐震化を支援する。現在、県内で耐震診断や補強工事が必要な校舎などが6棟あり、このうち2棟の工事を18年度内に実施するとの説明があった。文化施設のつり天井対策では、来年1月に県民文化ホール、3月に美術館本館の工事を発注する。
 中山間振興・交通部では、土佐くろしお鉄道が民家に隣接する高架橋3カ所の耐震工事に7月着手すると報告した。
 商工労働部では、南国日章団地の開発に向けた用地交渉、高知布師田団地の開発に向けた用地測量・実施設計などを進める。また防災関連産業の振興に向け、台湾やインドネシアなど東南アジアで積極的に拡大する方針であるとした。
 農業振興部では、ため池の耐震補強工事を6月と7月に各1カ所、8月と9月に各3カ所着手する。また地すべり対策として工事1カ所を6月に発注し、5カ所の継続調査を進める。
 林業振興・環境部では、陸閘常時閉鎖に係る治山工事4カ所と避難路・避難場所の安全対策に係る治山工事5カ所を6月までに発注、地すべり防止工事は7月以降に発注する。また、ごみ処理施設やし尿処理施設の設備の強靱(きょうじん)化に向けた検討を進める。牧野植物園資源植物研究センターの耐震化に向けては、改築する新研究棟の建築規模の検討に着手し、来年1月以降基本設計を外注する予定。
 水産振興部では、室戸岬漁港と清水漁港で、防災拠点漁港への耐震強化岸壁整備を継続して進める。漁業用屋外燃油タンク対策では、9基の撤去時期の協議を進め、池ノ浦漁港と安芸漁港で地下タンク設置工事を進める。
 警察本部では、6月までに高知南警察署鴨田交番の実施設計外注、信号機減灯対策用発電機(固定式)15基の設計外注、非常用夜間離着陸用照明設備整備を実施、第2四半期には旧ヘリ基地の跡地整備に着手する。高知警察署新築工事は7月5日に開札し、10月以降解体工事に着手する。
 公営企業局では、工業用水道事業で耐震対策が必要な施設の改修計画案と更新が必要な管路の更新計画案を9月までに策定する。電気事業では、杉田ダムゲート部分で貯水位を低下させた耐震性能照査を来年1月まで実施、病院事業では、あき総合病院で非常用電源増設と液化酸素供給設備工事に向けた設計を7月に外注し、来年1月に発注する。
 19年度から開始する第4期行動計画の策定方針では、第3期行動計画の取り組みを総括し、明らかになった課題を反映させることを作業のポイントとして挙げた。このうち、命を守る対策では、浸水想定区域近辺の対策の検証、想定浸水区域外の川沿いや万が一浸水が起こりうる地域における対策の検証、要配慮者の津波避難の実効性確保などを盛り込む。命をつなぐ対策では、津波避難タワーからの移動方法検討、燃料や水などライフラインの確保についての課題などに取り組む方針で、対策の時間軸をこれまで以上に長く捉え、必要な取り組みを検討する。

提供:建通新聞社