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北海道建設新聞社
2018/06/04

【北海道】国際競争力確保へバルク岸壁に荷役機械を据え付け 釧路港

 国際バルク戦略港湾に指定された釧路港で、岸壁へのアンローダー(荷役機械)の据え付け作業が進められている。今後は、大型バルク船から荷揚げした穀物をサイロ会社の施設まで運ぶベルトコンベヤーを整備し、2018年度内の供用に備える。
 国際バルク戦略港湾は、バルク貨物の分野で国際的な競争力を確保するため、パナマ運河を通行する最大級の船舶が入港できる施設を集中的に整備する成長戦略の一環。釧路港は穀物分野で指定を受け、14年度に国際物流ターミナル整備事業がスタートした。
 このうち、マイナス14mに対応した岸壁、航路、泊地の整備は釧路開建が担当。第2ふ頭先端部に桟橋形式で新設する延長300m、幅20mの岸壁はことし3月に完成し、浚渫も年度内には全て終える見通しとなっている。
 一方、アンローダーやベルトコンベヤーなどの設置を担うのは、市と港湾利用事業者などで組織する第三セクターの釧路西港開発埠頭(本社・釧路市、鈴木信社長)。当初は市がアンローダー2基を新設する予定だったが、事業主体の変更に伴い当面は今回設置する1基のみで運用することとした。
 アンローダーは、ビューラー社(スイス)製のポータリンク800/70RKという形式。定格荷揚げ能力が1時間当たり800dで、総重量約600d、総高31・1m、ブーム旋回半径27mとなっている。
 ヨーロッパで製造した部品を、中国で基部やブームなど4パーツに組み立て、運搬してきた。作業初日の5月30日は運搬船に取り付けられた2基のクレーンで基部をつり上げ、岸壁に敷設された幅14mのレール上に慎重に下ろした。3日までに全パーツの組み立てが完了した。
 ベルトコンベヤーは、岸壁部分の架台など一部が整備されているものの、方向転換する地点への建屋建設を含めて大半は今後の工事となる。整備延長は約900mに上り、同ふ頭で操業しているサイロ会社の倉庫などに接続。雨風にさらされることなく搬入できるシステムを構築する。
 釧路市水産港湾空港部の梶光貴次長は「計画書段階では、パナマ運河拡張をにらみマイナス16mも視野に入れていたが、国内で他に穀物対応のマイナス16m岸壁がないため、海が荒れたときに他港への入港ができず、釧路だけ整備しても仕方ない状況」と説明。まずはマイナス14m施設を最大限に有効活用し、他港や船舶大型化の状況を踏まえながら今後の対応を検討する考えを示している。