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建設経済新聞社
2018/06/18

【京都】“新会長に聞く” 京都府建設業協会 小ア学(こざき・まなぶ)会長

 70周年の節目の年を迎えた一般社団法人京都府建設業協会の新会長に小ア学(こざき・まなぶ)氏が就任した。今後の抱負や担い手確保の課題などをテーマにインタビューした。
◇まずは抱負をお聞かせください
−私の父も40年前の昭和53年から8年間、会長を務めさせていただいた。昭和53年は京都府で林田知事が誕生した年で、業界にとっては歴史的な転換期。
 それから40年の月日が経ち、私が会長に就任させていただいた。京都府下を北から南まで全般的にみると、公共投資額は全国でも下位に低迷しているのが現状。道路網整備率の低さ、河川改修整備率の低さなど40年経った今もインフラ整備がまだまだ残っている。ようやく京都縦貫道が開通したとはいえ、丹後から国道9号の老ノ坂までであり、第二外環も開通したが、京都市内へのアクセスは悪く、依然として課題。また滋賀県へ抜ける道路網も名神高速道路、国道1号、京滋バイパスだけであり、新たなルートに期待している。40年の遅れを少しでも取り戻すために、京都府、市町村と連携し、魅力ある京都府を目指したい。そのために他の経済団体とも連携を図りながら、京都経済界の中で建設業協会、建設産業が少しでも有意義な提案ができるようにしたい。絹川前々会長、岡野前会長が力を注いでこられたその路線を私も継承し、より一層、産業界での建設産業の地位向上に努めてまいりたい」「絹川前々会長、岡野前会長は全建で副会長を歴任されており、全建における京都府建設業協会の地位、重責も十二分に認識し、日本の建設産業の発展に少しでも力になれればと考えている」
◇力を入れたい取り組みは
−文化庁の移転が決定した。省庁移転は地方創生の鍵といわれている。京都府が主体としてハードを整備されるが、地元建設業協会が少しでも移転に携わるそのお手伝いをさせていただきたい。これこそが地方創生の目玉になるのではないか。
 建設業の時間外労働は上限規制の適用除外で5年の猶予はあるが、いずれ建設業にも適用される。建設業は請負制度であり法と運用が合致しにくい産業である。今の働き方改革の中で建設産業が抱えている課題を行政だけでなく民間の発注者にも理解が得られるよう、全建とも連携し、国土交通省などを通じて働きかけていただくこと、行政からのご指導、制度設計が必要と考えている。
 建設キャリアアップシステムも成果あるものにしていきたいが、発注機関の運用上のご理解が必要。せっかくできたよりよい制度が中小建設業者にも有効に活用できるよう取り組んでいきたい」
◇i−Constructionへの対応は
−人が機械に使われるのではなく、人が機械を使い、労働時間を減らしたり、より仕事を効率的に行うことを目標にしなければならない。協会として方向性を見定めるような研究が必要と考えている。
 府下で青年部会を組織しているのは京都支部だけになっている。構想段階だができることならば、協会が主導し若い経営者の育成を図るため、経営資質の向上につながるようなセミナーや勉強会を開催していくことも必要ではないかと考えている。支部単位で任意団体として自主的に活動することと、協会本部として集合する機会、勉強する機会という形で取り組むこと、その両輪が必要な時代。同業の同世代の経営者、または先輩から刺激を受け、その刺激を自分なりに咀嚼し、自分のカラーをつくることが大事。
◇安心・安全、地域防災力の向上について
−防災協定では体制を組み、訓練をしているが、現実に台風で出動した時には必ずしもその通りには動かない場面もあり、現場力が問われる。各社がどれくらい資機材をストックしているか、オペレーターを持っているかなどを知っておくことも大切になる。建設業は常に自分たちの現場を運営しながら、災害が起きた時に災害現場に駆けつけている。京都市の駅伝では、建設業者が凍結材をまいたり、除雪作業をしたりして大きく関わっている。そうした取り組みを少しでも情報発信したい。
◇若者へのPR、担い手確保について
−建設業が責任のある誇りのある仕事だと思ってもらうことが大事。ものをつくることの楽しさ、大切さを伝えたい。SNSなどでの情報発信についても考えていくことが必要。
◇潟~ラノ工務店は昨年、京都府の土木建築業界で初めて厚生労働省のユースエール企業に認定されました
−ユースエール認定をいただき、協会の労務経営委員会の依頼を受け、働き方改革・担い手確保の取り組みの事例発表として講演をさせていただいた。また京都支部の青年部会では、人材獲得、育成で成果を出されている大阪の建設会社の社長を招き、セミナーを開催した。
 5年の猶予期間の後、建設業の時間外労働の上限規制が適用されるという認識をもう一度、会員企業のオーナーに持っていただくことが大事。各社の取り組みによるところもあるが、週休2日制などは行政から指導されて取り組むだけではなく、自ら取り組みをしないといけない。
◇西脇京都府知事への期待は
−我々にとっては救世主。他府県の会長からもうらやまれるような、切り札のような方に来ていただいた。建設産業への理解も深く、中央とのパイプ、実績など非常に期待している。
◇インバウンド(外国人観光客)について
−インバウンドを2回、3回とリピーターとして京都に来ていただき、この町の良さ、魅力をもっと知っていただきたい。そのためには道路網の整備が必要。アクセスを良くするだけではなく、歩いても安心なまちにする必要がある。
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 小ア会長の座右の銘は不易流行。趣味を聞くと、「大学時代から続けるゴルフのほか、ジムにも通っている」「植物をみることも好き。旅行では感性を磨くため美術鑑賞も。街並みをみるのも楽しんでいる」との答えが返ってきた。
 大阪万博で見た建物のデザインやスケール感、ムービングウォーク(動く歩道)などが建設に魅力を感じた原体験と語る。ミラノ工務店に入社する前の学生時代、会長を務めていた父の背中を見て頼もしいと感じ、建設業は1社だけで成り立つものではない、大勢の職人とともに仕事をするスケール感に魅力を感じたという。昭和37年11月生まれ、寅年の55歳。