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北海道建設新聞社
2018/06/28

【北海道】北海道ボールパーク 福田社長に聞く

 北海道日本ハムファイターズの新球場を含むボールパーク(BP)構想実現に向け、3月26日に設立した準備会社「北海道ボールパーク」。北海道日本ハムファイターズ(本社・札幌)と日本ハム(同・大阪)、電通(同・東京)の3社が出資し、敷地計画や球場デザイン、関係機関との協議を進める。2018年内に日本ハムが事業化を正式に判断し、20年5月の着工、23年3月の開業を目指す。BPの魅力や展望を福田要社長に聞いた。
 ■日ハム新球場は本道のシンボル
 「新球場の必要性は前からずっと話されていた」と振り返る。12球団中、自前球場を持たないのは3球団。「持ちたいのは普通」と新球場整備は当然の動きと捉える。
 国内の球団が球場整備にとどまらずBPにかじを切る背景の一つには、野球単体でのビジネスに限界があるからだ。「本拠地は1年に50―60試合。残り300日をどうするか。スポーツという核は保ちつつ、ビジネスのチャンスを広げないといけない」と指摘する。
 ■プレーや観戦 環境を改善へ
 新球場の目的は2つ。1つ目はプレー環境改善だ。「天然芝か天然芝レベルなら思い切りプレーでき、けがのリスクを減らせる」と話す。ただ「北海道で天然芝を育成するのはこだわりというか、むちゃぶりというか…」と難しさを自覚する。
 寒冷地での天然芝は海外でも先例がない。日照と風は自然任せでなければならないからだ。「屋根構造をどうするかなど、業界の方々泣かせのチャレンジ。苦労されているのでは」とする一方、「実現すれば世界に類を見ないスタジアムとなり、業者のノウハウになる」とみる。
 2つ目は観戦環境の改善。「がっつり見たい人には臨場感あふれる選手との近さ、ながら観戦にはニーズに合わせたさまざまな席種」を提供する。子どもと遊びながら、食事や温泉を楽しみながらといった多様な観戦スタイルに対応したい考えだ。
 まちづくりへの影響は「大人も子どもも1日楽しめる集客エンジンがあれば、地域を越えて人が集まり、にぎわいが創出され、まちが活気を上げる」と展望。「収益事業だけではなく、北海道のシンボル、課題解決のきっかけづくりの場にもならなければ」と話す。
 ■滞在型施設で 観光拠点にも
 スタジアムのデザインには斬新さを求める。「北海道のシンボルとなり、視覚的にも今までの球場と全然違うと分かるように」と一目で伝わるランドマークとしての存在感を期待。飲食も「そこでしか食べられない、道産食材を使った名物フード」にこだわる。
 定住人口を増やして人口減に歯止めをかけ、交流人口を増やす観点から「滞在型にしたい」とホテルやレジデンスも構想。新千歳空港と札幌の間という地の利を生かし「観光拠点にも」と国内外から人が集う場を想定する。
 海外の郊外型BPでは車で来て、試合後にファンがバーで交流し、宿泊する人も多い。車社会の北海道もそのような利用の余地はある。新駅設置による利便性向上や現駅からのアプローチの工夫のほか「遠くからも高速で比較的便利に来られるし、駐車場の台数も確保できる」と車でのアクセスも重視する。
 ■進化するBP 企業も協力を
 目指すのは「進化するBP」。開業時に全て完成しているわけではなく「地域、市民、行政、事業者などいろいろなパートナーと一緒に北海道のシンボルづくりをしたい」と「共同創造空間」を掲げる。
 現在は「スーパーゼネコンから提案を受けている。付き合いのある海外企業と提携しているところもある」と明かす。それだけではなく「道内企業を含め、お話は全て聞かせてもらうというスタンス。いろいろな形で助けてもらいたい」と広く協力を求めている。
 福田 要(ふくだ・かなめ)1963年1月3日生まれ、京都府出身。82年、日本ハムに入社。北海道日本ハムファイターズには2010年から。ことし3月から北海道ボールパーク社長。