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建設経済新聞社
2018/07/17

【京都】旧京都府総合資料館跡地活用 滞在、交流など方向性示す 整備運営に民間ノウハウも

 京都府はこのほど、京都市左京区下鴨の旧総合資料館跡地の活用について、整備の方向性などをまとめ明らかにした。
 府は旧総合資料館や植物園、陶板名画の庭、府立大学などが集積する北山地域を「北山文化環境ゾーン」に位置づけ。府立大学下鴨キャンパスの北側に府立医科大学、府立大学、国立大学法人京都工芸繊維大学の3大学の教養教育共同化事業の拠点施設「稲盛記念会館」を26年9月に完成させた。新しい総合資料館として京都市の京都コンサートホールの南側に「京都府立京都学・歴彩館」を建設し、29年4月にグランドオープンさせた。
 今後は、31年4月に府立大学文学部への和食文化学科の開設を予定。またゾーン内の各施設をつなぎ、回遊性を高めるため、広場とプロムナード(遊歩道)を30・31年度に整備する予定。広場・プロムナード基本計画作成業務は公募型プロポーザルで森ビル(東京都港区)を受託候補者に選定した。
 北山文化環境ゾーンにおける最後のワンピースとして総合資料館跡地の活用を検討。28年8月の第1回検討委員会の開催以来、約2年ぶりに跡地活用検討委員会(委員長・門内輝行大阪芸術大学芸術学部教授)を開き、府が跡地活用案を示した。
 案によると、岡崎地区や梅小路地区など市内の他の文化ゾーンとの機能分担、府立文化芸術会館(京都市上京区東桜町1/敷地面積4467・52u、延4388・02u(建築面積2195・89u、昭和45年1月設置)の老朽化に伴う機能の継承などを踏まえ、整備にあたっての方向性として、○国内外から様々な人々を集め、滞在させ、交流を活性化○ここにしかない体験で人を引きつけ、色々な機能でゾーンを回遊させる○各施設の垣根を越えた相互利用やゾーン全体の持続的なエリアマネジメントを挙げた。
 跡地に求められる施設は、○舞台芸術系(演劇・舞踏・ダンス等)・視覚芸術系(絵画・写真・工芸・華道・書道等)が集積した京都の他にはない創造・発表の場○飲食、宿泊、コンベンション等の集積や、魅力的で面白い施設・イベント等、賑わい・交流創出の機能を持った複合的な施設○新たな文化の創造に向けた色々なキャパシティーの施設○北山文化環境ゾーンの他の施設との相互利用が可能な施設とした。
 整備にあたっての留意事項として、○人を集め、滞在させ、交流を生み出すためにはゾーン全体の魅力を向上させることが必要で、施設の整備・運営では行政単独ではなく、民間等様々な主体のアイデアやノウハウ等を活用しながら、最適な手法で行うことが適当○ゾーン全体で連携した取組を行うためのエリアマネジメントを持続的に行うためには、核となる専門人材の配置や様々な主体との連携が必要○施設の整備では設備・機構や搬入動線等に専門家の意見を反映させるなど、使い勝手のよい施設とすることが必要とした。
 検討委では、委員から「創造型劇場が考えられる」「京都には美術作品、工芸品など良いものがたくさんあるが、常設できる場所が少ない」「京都の美術系大学のハブ拠点として考えてはどうか」「北山エリアは自由に建築がしやすい利点がある」などの意見があった。
 府は7月中に第3回検討委を開き、跡地活用の方針をまとめる予定。