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北海道建設新聞社
2018/07/23

【北海道】札幌市の6区役所、更新期に 費用巨額で整備時期を分散化

 札幌市の区役所庁舎は清田、手稲、白石を除く6施設が、政令指定都市となった1970年代の建設から半世紀を経て、一斉に更新期を迎えつつある。既に中央区で改築準備を進めているが、直近で移転新築した白石区は66億円を投じるなど、巨額の更新費用が必要となり、延命による整備時期の分散化が不可避の状況。他施設との統合・複合化や民間開発、民間資本と連携した整備手法を探る流れも今後強まりそうだ。
 市はアジア初の冬季五輪が開かれた72年の4月1日に政令市の指定を受け、中央、北、東、白石、豊平、南、西の7区による区制を開始した。
 同時に五輪開催に伴う建設投資や高度経済成長、地下鉄南北線の開通を弾みに都市域が拡大。今につながる都市の骨格を形成した。拠点となる行政庁舎は71年に市役所本庁舎、72年に中央、北、白石、西、南の5区、74年に豊平区、77年の東区が順次完成している。
 当時の北海道建設新聞によると中央、北、白石、西、東、豊平の各区は、日本住宅公団(現・都市再生機構)を事業主体に、周辺の住宅団地と一体で庁舎を新設し、拠点形成と居住地区の形成が図られた様子がうかがえる。
 半世紀を経て、各区の行政庁舎も更新期を迎えている。トップを切ったのは白石区役所。2016年11月、区民センター、保健センターを統合した複合施設として南郷通1丁目に、地下鉄白石駅直結で移転新築した。
 ■市が民間連携など模索
 現在は中央区役所で整備基本計画づくりが進行中で、周辺に分散した区民センターや保健センターを集約する複合施設として南3条西11丁目に現地改築する方針。民間活力の活用調査も進め、20年度以降の着工に向け準備を進めている。
 このほか、南区では地下鉄真駒内駅前の再開発構想の中で、現在の区役所など、周辺の行政施設を駅前に集約し、複合施設とする案が検討されている。
 一方、この時期には都市拡大に合わせ公営住宅や学校など多くの市有建築が整備され、それが今後一斉に更新期を迎える。その更新費はピーク時で年間700億円を超えると推計されている。
 巨大な財政負担が予見される中、市は18年度から全庁的な施設管理に乗り出した。管理計画の策定で平準化や統廃合を進める方針だ。
 とりわけ1棟当たりの整備費が大きい行政庁舎は、延命化による整備の分散は不可避。
 中央区を除く庁舎は耐震化などが必要な改修を終え、利用を続ける下地は整っているため、担当の市民文化局は改修で延命化を図りながら整備時期を探る方針だ。
 地域拠点を形成する区役所周辺は民間ビルの老朽化も進んでいるため、民間開発との連携やPFIなど民間資本活用を図る流れも強まるとみられ、投資動向や経済環境も整備判断の鍵を握るといえる。