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北陸工業新聞社
2018/08/07

【富山】とやま新機軸/築いた信用を守り育てる/北陸電気工事社長矢野茂氏/「やめる、へらす、かえるを恐れずに」 

 社長就任に当たり、社員には自身の思いとして3点を伝えた。1点目は「信用を大切にし、経営をしっかり成長させること。北陸電工は大雪や台風、突発的な停電など、困った時に頼りになる会社。お客さまの評判が最も大切であることをお互い認識し、築いた信用を守り育てようと呼び掛けた」とし、「経営面では中期経営計画「アクションプラン2020」の達成。社員を一定数増やし、目標に売上高500億円、経常利益50億円以上を設定している。社員は経営資源の最たるもので、最も大切。社員の能力をいかに持ち上げるかを考えつつ、中期経営計画の達成へ役に立ちたい」との意気込みを述べる。
 2点目には安全を挙げる。「安全は自分の身を守る基本だが、家族の生活と安全を守ることにつながる。安全がないとお客さまの会社にも影響し、社会にインフラを提供する責任も果たせない。自分と家族、会社、社会のすべてが安全を前提につながっていることを噛み締めるべき。頭で理解するだけでなく、自分の中で咀嚼(そしゃく)し、腑に落ちるまで落とし込むことが大切」と力を込める。
 3つ目は働き方改革。「働くことは額に汗し、知恵を出して社会に付加価値を付けていくこと。働き方改革では、汗のかき方を工夫することが求められている。少ない努力で多くの付加価値を生み出すことが必要。効率性の工夫で労働時間を減らし、働く人のワークライフバランスを改善することで、プライベートな時間の充実にもつながり、業績を上げる可能性にもなる。少子高齢化で担い手確保が困難になる中、昔のままのやり方で入職が減ると、お客さまの期待にも応えられない。「やめる、へらす、かえる」を恐れてはいけない」と強調する。
 経営理念には、(1)複雑なことはしない。正しい取引を貫き、シンプルに生きる(2)明るく公平な職場で、一生懸命働き、お客さまから信用を得る(3)仕事を通して社会の発展に貢献し、健康で幸せな人生を目指す、を掲げる。「とても分かりやすい理念で、社員と共有しやすい。この精神を尊重し、大事にしようと社員に訴えた」。
 担い手確保に向け、「男性も女性も気持ちよく働ける職場環境にすることが重要。当社の社員比率は男性が圧倒的。女性の技術職がどんどん増えれば、採用もしやすくなる」と捉える。
 富山市東黒牧の同社能力開発センターは、未来を担う人材の育成拠点と位置づける。「新入社員は長いと、7カ月缶詰で研修を受ける。技能を積むことで、非常にたくましくなる。毎年秋には関係者を招き、技能発表会を開いているが、子供の成長を見届けた保護者は安心する。招いた高校生には電気工事業の役割、魅力を伝えている。研修は定着率の向上、ジョブマッチングの観点でも非常に意味がある」。
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 やの・しげる 57(昭和32)年8月生まれ。60歳。福井県出身。神戸大法学部卒。80年に北陸電力入社。営業・企画畑が長く、丹南支社長、営業本部営業部長、執行役員経営企画部長、常務取締役を経て、15年6月から代表取締役副社長。6月28日付で現職。座右の銘は禅語「紅炉上一点雪」。「熱くしっかりとした信念があれば雑念や迷いはなくなる。自分への戒めも含め心に留め置いている」。趣味は山歩き、ジョギング、スキー。

hokuriku