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鹿児島建設新聞
2018/08/30

【鹿児島】災害時の木造仮設住宅/候補地調査し検証へ

 県木造住宅推進協議会(会長・守真和弘県建築士会長)は、災害発生時の木造応急仮設住宅の供給に向けたシミュレーションを行う。2018年度の新規事業で、建設候補地のリストをもとに現地調査を実施し、配置計画を作成して課題等を検証する。県内の関係団体が設計班、施工班、材料班として協力し、有事の供給体制を構築するのが狙いだ。
 同協議会によると、県内43市町村がリストアップしている建設候補地(16年度時点)は、公園や学校など計809カ所。建設可能戸数は約2万9000戸に上る。敷地や施設の状況等を踏まえ、建設の優先度を3段階(A〜C)で示しており、仮設住宅を整備する際の判断材料としている。
 災害が起こった際は、同協議会が窓口となって関係団体に協力を要請する。建設に当たっては、▽設計班(県建築士会、県建築士事務所協会)▽施工班(全国木造建設事業協会県協会、県建築協会)▽材料班(県林材協会連合会、県プレカット協議会)−を配置し、各班が連携・協力して迅速な供給を目指す。木材は、県産材を基本に利用する方針だ。
 配置計画までのシミュレーションは、年内をめどに行う見通し。主な流れとして、@災害発生を想定した設計班、施工班の招集A建設候補地リストの中から場所を選定し、現地調査を実施B調査結果をもとに応急仮設木造住宅の配置計画を作成Cその内容を踏まえて課題や改善点を検証−を予定している。

■記者の目
 迅速な供給、地域振興も

 災害発生時の応急仮設住宅は、近年の相次ぐ震災等で供給体制に関する課題が指摘されてきた経緯がある。
 熊本地震でも従来のプレハブだけでなく、木造による建設が増え、注目を集めた。利用者からもその居住性を評価する声が目立ち、熊本県内の業者からは「県産材を使うことで、地元の工務店が地域振興にも大きな役割を果たした」との見方もある。
 「机上のスキームだけでなく、実際に動いてみて課題を検証していくことが大事」と同協議会。建設地の状況や供給能力なども含め、有事の際の迅速な住宅提供につながるスキームを構築してほしい。

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