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北海道建設新聞社
2018/08/30

【北海道】ひらけ!夢へのみち BPアクセス道路(下)

北海道のシンボルへ
 ■巨大な支出 事業実現に責任
 北海道日本ハムファイターズが札幌市と北広島市のどちらを将来の本拠地とするのか、その選択には多くの道民が注目していた。反応が遅くなりがちな札幌市とは対照的に、北広島市が提案を迅速に繰り出す姿勢は印象的だった。しかし、候補地を勝ち取った今、その提案内容の実現性が問われている。
 北広島市は、公園区域の土地の無償貸し付け、固定資産税と都市計画税の10年間免除に加え、粗造成、道路や上下水道といったインフラ整備など、球団側の求めを受け入れ、即座に数々の支援を提案してきた。
 一方、札幌市は答えを出すまでに内部検討を重ね、実現可能なものを厳選。道立真駒内公園の利用は五輪招致や道の意向を確認し、利用可能性を詰めて候補地として提案した。真駒内駅からのバス輸送計画は細部まで検討され、周辺の道路整備は既存計画を早める形で対応するなど、まちづくり政策との整合性が取れていた。
 結果、パートナーに選ばれたのは北広島市だった。球団側は「ビジネスセンスがあり、ストレスなく進められた」と市とのやりとりを評価した。熱意が実り、誘致には成功したものの、市は「候補地」の看板とともに、これまでにない巨大な支出を伴う事業を実現せねばならないという「責任」も手中にした。
 ■資源など効率良く配分
 市の2018年度一般会計の予算額は235億円で、うち普通建設事業費は28億円。道路や上下水道、粗造成、JR新駅設置や現駅改修といった行政サポートには最大約200億円を投じる考えだ。全て市が賄うとすれば、数カ年に分けて進めたとしても、財政負担は大きく、財政の硬直化を招きかねない。
 それでも、市は「市債や国の補助金、民間事業者との連携など、単年度の負担を抑えながら、後年次で分担するという精緻な財政推計をする」(川村裕樹BP推進室長)と攻めの姿勢を保ち、18年度は新設アクセス道路2路線と既存市道3路線の拡幅を合わせた道路整備全体の概略設計に着手する。
 ただ、メインの工事用道路となり、資材を運ぶ大型車両が集中するであろう市道北進通の拡幅の時期をどうするかなど、固まっていない部分も多い。アクセス道路や市道拡幅部の車線数も未定だ。
 BP予定地周辺には、障害者支援施設や特養などの福祉施設と北海道札幌養護学校共栄分校や北広島高校といった教育施設が集まる。施工中の騒音や振動には配慮が必要で、リミットに向けて突貫工事を推進することは難しい環境だ。
 課題は山積みだが、「成長を続けるBP」の夢を語り合った球団、国や道の協力、市民の理解を得て資源や資金を効率良く配分し、「北海道のシンボル」への道を切り開き、夢の実現にまい進してほしい。