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日刊建設タイムズ社
2018/09/03

【千葉】「くしの歯」道路啓開/改めて対策と認識を/県土整備部震災訓練

 「2018年度県土整備部震災訓練」が先月31日、県土整備部震災対策組織と各建設業団体らとの合同訓練として、県庁と県内出先機関の震災想定現場で行われ、総勢約850人が参加した。震災時における県県土整備部の防災活動の円滑な実施に加え、(一社)千葉県建設業協会及び各支部、(一社)千葉県電業協会、(公社)千葉県測量設計業協会らとの業務協定に基づく協力体制の一層の充実を図ることが目的。訓練想定地震は、相模湾を震源とするマグニチュード7・9で、地震発生時刻は7時30分。太平洋側沿岸部では2mを超える津波が発生し、各地域で震度6強の場合を想定した。

 ◆富津公園で実動

 一昨年度から開始した千葉県版「くしの歯作戦」に基づく道路啓開訓練は、富津公園の第一駐車場が会場。道路啓開候補路線の国道410号の道路啓開を想定し、レッカー車と車両移動用ジャッキを用いた人力移動などを行い、交通機能の確保までの流れをシミュレーションしたほか、道路照明灯や流木の撤去等の実動訓練も実施。その訓練状況は、国土交通省の衛星中継により、県庁・震災対策会議事務局の衛星テレビで確認した。

 ◆千建協と千電協/ちば測協ら協働

 訓練では、県庁中庁舎4階の県土整備部会議室に設置した「震災対策会議事務局」と27の出先機関による「現地震災対策班」が、午前8時30分に初動職員を参集するとともに事務局を設置。同45分から震災対策会議事務局が情報収集、被害状況表・個所図作成、対策会議用資料作成(被害状況の整理)に着手する一方、現地震災対策班では、職員等参集状況や被害状況等を収集・報告し、震災対策会議事務局と情報交換した。
 現地震災対策班では、併行してパトロールの実施や応急対策を検討し、建設業協会・電業協会・測量設計業協会らと協働で、パトロールの実施や応急措置など、各事務所で作成する想定訓練企画書に基づく訓練を実施。4年前からは、大規模災害を想定した国等への支援要請として、具体的に緊急災害対策派遣隊や災害対策用機械の派遣などのシミュレーションを追加した。
 県土整備部震災対策会議事務局では、現地震災対策班からの被害状況情報を収集し「被害報告第一報」を取りまとめ、10時20分に指導班長から震災対策会議に報告。県土整備部長室に設置した「県土整備部震災対策会議」には、神作秀雄・災害・建設業担当部長を議長に、次長らの副議長、議長補佐のほか、各課長で構成する委員が参集した。

 ◆速やかな対応へ日頃からの訓練

 震災対策会議事務局からの第一報に先立ち、委員らを前にあいさつした神作議長は、6月に政府の地震調査委員会が、全国地震等予測地図を公開したことに言及。その中で千葉市は、今後30年間で震度6弱以上の揺れに見舞われる確率が85%以上とされ、全国の都道府県庁所在地で最も高く、今年に入ってからは、6月18日に大阪府で震度6弱の地震により、死者5人、負傷者364人の大きな被害が発生。この他にも4月に島根県、5月には長野県において震度5強の地震が発生し、本県でも東方沖でスロースリップ現象を確認。これに起因する震度5弱の地震が、7月7日に長南町で観測されていることなどを説明。
 これらを踏まえて神作議長は「大きな地震がいつどこで起きてもおかしくない状況であり、速やかな対応を図るため、日頃からの訓練が極めて重要だ」との考えを示した。

 ◆円滑な初動活動と関係団体との連携

 この日の震災対策訓練については、「公共施設を管理する国及びNE]COや、現場での応急対応等を担って頂く(一社)千葉県建設業協会など、関係団体等との連携を図り、大規模地震時における円滑な震災初動活動の実施を図るもの」と強調。訓練では、災害対策基本法に基づく道路管理者による車両移動の手続きを、道路区域の指定から車両移動までを通してのシミュレーションに加え、国の衛星通信車を使用した現地からのリアルタイム画像の配信を行うことを説明。震災対策会議の各委員に対しては「本日の訓練を契機に、改めて震災対策の認識を深め、実際の地震発生時において適切に対応して頂くことをお願いする」と呼びかけ、あいさつとした。k_times_comをフォローしましょう
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