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建通新聞社四国
2018/09/04

【徳島】鳴門市の新庁舎基本計画検討委 議論持越し

 新庁舎の早期整備を目指している鳴門市は、8月29日に「新庁舎建設基本計画検討委員会(委員長・田中弘之鳴門教育大学副学長)」の第3回会合を開き=写真、市民アンケートの結果や市民会議などでの議論を踏まえ、前回会合までの保留事案などについて協議した。市は9月の次回会合で基本計画の素案を示したいとし、現庁舎敷地に新庁舎を建設し、現庁舎等は解体を基本に模型や写真、図面などの記録として残す他、事業手法についてはDB方式(実施設計と施工一括発注方式)を採用したいとする考えなどを提示したが、委員から特に学術的価値のある現本庁舎の扱いに慎重論が多く出されため、委員長判断で全ての事案を次回まで先送りすることに決めた。
 前回会合での保留事案は▽新庁舎の建設場所▽現本庁舎の存廃▽新庁舎建設の基本的な考え方(基本方針・基本理念)▽新庁舎への導入機能−の4事案。
 市民アンケート(3000人配布、回収率45・2%)では、約77%が現庁舎が建つ敷地が望ましいと回答。市民会議でも中心市街地や高台、交通利便性の高いところといった建設場所に関する要望があり、市は経済性、市民の利便性、防災の観点、周辺土地の脆弱(ぜいじゃく)性なども評価し、現庁舎敷地が新庁舎の建設場所として最もふさわしいとした。
 続いて現本庁舎の存廃について、市民アンケートでは、現本庁舎が故増田友也氏により設計され、近代建築(増田建築)として評価されている点に、約64%が知らなかったとし、約59%が関心を持っていないと回答。市民会議でも一部で保存などの声があったものの、全体的に現本庁舎の存廃に関する意見が少なかったとし、市は現本庁舎はコスト面や利便性から改修も保存もせず、解体を基本としつつ、模型、写真、図面などの記録により、保存・顕彰する方向で検討したいとした。これらを整理し市は、現本庁舎敷地に、分散する行政機能(6庁舎)を一つの庁舎に集約し建設する1棟体制案を示し、委員に理解を求めた。
 委員からは、建設候補地について「候補地の評価基準が曖昧すぎる。市民の理解を得るために、もう一度点数化するなどして示し直すべき」といった初会合時の議論に戻る発言の他、市民アンケートで約38%が増田建築に関心があるとした回答に「予想以上に関心がある」と受け取る委員もあり、「増田建築の在り方を市がきちんと決めないと前に進めないのではないか」とする意見もあった。
 増田建築の扱いに市は、学術的価値に一定の理解を示しつつも、保存などの維持費に市民の理解が得られにくい点を挙げるとともに、全体(19棟)の中で整理し考えたいとし、現本庁舎は保存対象から除外したい考えを改めて示した他、もう一つの案とされる新棟+改修案の考え方もあるとし、市の方針に理解を求めたが、最終的に田中委員長が「もう一度検討したい」とし、その他の事案とともに次回に持ち越すことに決めた。
 保留事案が全て次回に持ち越される形となったが、市は最後に新庁舎建設に関する事業手法案(事業手法と工程の比較検討)も示した。現本庁舎敷地に整備する1棟体制案に基づく考えのため、今会合では聞き置く程度となったが、市は、VFM試算の結果、事業費の抑制効果が1%程度と低いことからPFI手法を採用せず、従来方式とDB方式を比較検討。2020年度を期限とする地方債制度「市町村役場機能緊急保全事業」の繰り越しを見越し、21年度末までにできるだけ事業の大部分を完成させることが望ましいとし、工期の短縮が期待できるDB方式が望ましいとした。
 市はDB方式を提案した理由の一つに、市企業局のボートレース場改築事例を挙げ、限定工期での完工実績や設計変更への柔軟な対応などを挙げた。委員からは「地元企業への発注による経済効果も期待できるのでは」といった意見や「DB方式の採用で市は、大事な事業ノウハウの取得機会を失うことになる。今後、同様の事業を控えているなら避けるべき」といった否定的な意見もあった。
 また、従来方式と比べ2カ月程度しか短縮できておらず、今後地方債の運用が軽くなれば条件も変わる可能性もあることから、「2カ月ずれるとどの程度の損失が出るのか試算してほしい」といった意見もあり、これらも次回以降に議論されることになった。1棟体制案で市は、庁舎の規模をおおむね1万〜1万2000平方bとする他、規模を1万2000平方bとした場合、建設工事費は54億円(平方b単価45万円)と試算している。
 現本庁舎は鉄筋コンクリート造3階建て延べ4312平方b。1963年建築で老朽化しており、耐震性能もIs値が0・47と不足している。財政状況が厳しい市は、熊本地震を契機に国が創設した市町村役場機能緊急保全事業が活用できる20年度の着工を目指している。
 市は委員会での意見などを基に10月末までに建設地や庁舎規模などを盛り込んだ基本計画を策定する。基本計画の策定は大建設計大阪事務所(大阪市西区)が担当している。

提供:建通新聞社