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建設新聞社
2018/09/06

【東北】政令市の建協同士で全国初/災害時の相互援助に関する協定締結/仙建協・浜松建協 

   仙台建設業協会(深松努会長)と浜松建設業協会(中村嘉宏会長)は5日、災害時の相互援助に関する協定を締結した。今後想定される南海(トラフ)地震や、再び発生すると思われる宮城県沖地震に備え、両団体が相互に協力。発災直後は要請の有無にかかわらず、被災地に駆け付けるなど、迅速かつ円滑な災害時対応を目指す。また、仙建協は東日本大震災時の経験や教訓を伝えることも目的としている。地域をまたいで政令市の建協同士が協定を結ぶのは、全国初とみられる。
 仙建協は、2011年に発生した東日本大震災時に、がれきの処理や道路啓開に尽力。仙建協だけでなく、宮城県解体工事業協同組合、宮城県産業廃棄物協会仙台支部と連携し、一体となっての災害廃棄物処理は「仙台方式」として、迅速かつ高いリサイクル率での処理を可能にした。
 こうした経験を踏まえ、今後の緊急災害時に備えて3団体は、15年9月に民間団体同士の相互協定を締結した。3者協定は資機材の融通や燃料に関する情報共有といった相互協力だけでなく、行政からの要請内容の情報交換など、円滑な官民連携の重要性に重点を置いた。一丸となって行政と連携することで、復旧・復興のスピードアップや市民の安全・安心を確実に守ることを目的としている。ことし4月には仙台市も加わり、4者協定になった。
 また、17年4月には3団体が「せんだい災害協定団」として『役に立つ!Q&A災害廃棄物処理の初動期活動〜東日本大震災の実体験から〜』を発行。緊急災害が起きた直後から、素早く対応するための教訓や、当時の経験の発信に力を入れてきた。
 その後、仙建協の深松会長が講演などを通じて、全国で震災後の活動を発信していく中で、浜松建協の中村会長と地域建設業協会同士で連携し、相互に助け合う協定が必要との認識が一致。また、復興JVとして浜松市の企業が仙台に応援として駆け付けた経験もあったため、協定の締結が決まった。
 今回、仙建協と浜建協が結んだ「仙台市および浜松市における災害時の相互援助に関する協定」は、援助要請や援助体制の確立、定期的な情報交換に関する内容で構成している。特に援助要請に関しては、連絡が取れなくなることを想定して、要請の有無にかかわらず被災地に出動することとした。そのため、どの企業がどこに集合するか、進行経路や宿泊場所まであらかじめ設定。第一次出動の際の人員、資機材まで特定しておく。被災箇所での作業に関しては、被災した側の指示で行うほか、第二次以降の援助は、相互の要請によって応じる計画だ。
 実際の出動や作業に関しては、仙建協は杜の都建設協同組合、浜松建協は浜松地区建設事業協同組合の所属企業が当たる。
 また、常に新しい情報を共有するため、毎年情報交換の場を設けるとしている。
 5日に仙台市環境局で開いた調印式には、各建協幹部のほか、仙台市環境局の遠藤守也局長、同市都市整備局の小野浩一局長、浜松市土木部の塚本光洋参与らが出席。深松会長は「南海(トラフ)地震が起きると220兆円の被害が生じると想定され、浜松も相当な被害を受けるだろう。そうした場合に同じ地域の行政や団体と協定を結んでいても、同時に被災しては身動きが取れない。他地域のわれわれだからこそ、食料や燃料、資材を持っていくなど、浜松の復旧に貢献できる」と協定の意義を強調。中村会長は「浜松は面積が広く、道路延長は8500`bに及ぶ。災害が起きると、手を入れなければならない箇所が多い。協定は大変心強く、震災時の経験を持つ仙台の皆さんからノウハウを学ぶチャンスでもある。こうした動きがほかの地域に広がればと思う」と話した。

提供:建設新聞社(宮城)