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建通新聞社(東京)
2018/09/21

【東京】都 土壌汚染対策制度見直しへ

 東京都環境局は、環境確保条例に基づく土壌汚染対策制度を見直す。施行から16年が経過する中で、数回にわたり法改正が行われ、条例の運用を通じて課題が浮かんできたことから、法との関係性を整理して整合させる。新たに健康リスクの考え方を導入して判断基準を明確化するとともに、条例でも土壌汚染情報に関する台帳を調製し公開する規定を設ける。汚染状況調査の猶予や、操業中の自主的な調査報告の受理などに関する規定も整備する。今後、詳細についてさらに検討し、条例を改正する。
 都条例独自の目的である地下水環境保全の考え方を保持しながら、法と同様に健康リスク(人の健康に係る被害が生じ、または生じるおそれ)の考え方を導入。地下水経由の飲用リスクなどに関して判断基準を新たに規定する。
 調査・対策の義務は「汚染原因者または行為責任を負う者に課す」との姿勢を維持するが、土地所有者などの関与の在り方については、条例の規定する義務の性質に応じて個別に定めることとする。
 土壌汚染情報の公開については、法に基づく区域指定に当たり都の公報に掲載して公示し、紙ベースの台帳で閲覧できるようにしているが、条例に基づく土壌汚染情報は公開規定がない。そこで、より積極的に情報公開するよう、条例でも台帳の調製・公開の仕組みを設けるとともに、情報公開の範囲や運用方法を検討する。条例独自の取り組みとして、都か水の汚染だけが確認された土地の台帳も併せて検討する。
 有害物質を取り扱う事業者が工場や指定作業場を廃止または建物を除却する際に義務付けている土壌の汚染状況調査に関しては、工場などの廃止時の調査報告時期を「廃止の30日前」としている現在の規定を、「工場等の廃止後120日以内」に変更し、工場などを廃止した者に調査義務を課す。除却時の調査は、土地改変時の汚染拡散防止を目的とした規定として改めて位置付け、除却に伴う土壌掘削の30日前までに調査報告を求める。
 一定の要件を満たした場合に認める調査義務の猶予については、条例独自の考え方による規定を整備し、その申請は調査義務者が行うこととする。
 土地改変時の調査報告義務の適用除外行為として認めている「通常の管理行為」「軽易な行為」を、施行規則または施行通知に記載して明文化する。通常の管理行為は「水道、下水道、ガス、電気工事」などを対象とし、現在の運用で認めている揚水・排水施設の設置や植栽管理に、既存道路補修などの行為も加える。軽易な行為は「300平方b未満の土地の形質の変更」と明確にする。
 現行条例の規定では、汚染処理命令や汚染拡散防止命令によって封じ込めなどの対策を行った場合でも、その後のリスク管理に関する規定がない。そこで、汚染土壌に触れるような土地の改変や対策に関する構造物の改変を行う者に対し、行為実施前の汚染拡散防止計画書の提出と、工事終了後の汚染拡散防止措置完了届の提出を求める。

提供:建通新聞社