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北陸工業新聞社
2018/10/02

【富山】災害軽減技術を世界へ発信/インタープリベント2018/富山で開会 

 国際シンポジウム「インタープリベント2018富山(国際防災学会富山大会)」が1日、富山市の富山国際会議場で開会した。土砂災害等の防止・軽減に関する討議、研究発表などを通して、立山砂防をはじめとした災害軽減技術を世界に発信していく。
 「変動帯における大規模な土砂災害と減災対策」を大会テーマに、4日までの日程で開かれ、世界27カ国・地域の防災関係者ら約400人が参加。会場内には防災関係機関・企業による展示コーナーも設けられた。
 初日の開会式では、実行委員会の石川芳治委員長が「富山では110年以上にわたり砂防工事が進められ、安全性の向上へ十分に役目を果たしてきた。歴史的砂防施設の価値を有しており、機能を保ちながら後世に伝えることが重要。災害に関する多様な情報を共有し、発生機構、予測手法の検討、ハード・ソフト政策などによって、より洗練された戦略につなげていく」とあいさつ。
 インタープリベント会長のクルト・ローナー氏、栗原淳一国土交通省砂防部長、海堀正博砂防学会会長、フーベルト・ハイッス駐日オーストリア大使に続き、開催県を代表して石井隆一知事が「立山砂防は水との闘いと同時に、自然と共生して人々の安全を守る長年の営みであり、世界に誇れる防災遺産。防災減災技術について技術者や研究者が一般の方々とともに議論を深め、今後継承していくべき人類の遺産として世界に発信され、災害の防止や軽減につながることを期待している」と述べ、立山砂防や世界文化遺産登録への取り組みを説明した。
 基調講演では、日本、オーストリア、フィリピン、台湾の政府関係者がそれぞれの災害の特徴・対策、災害救援活動、防災コミュニティについて報告した。
 2日は口頭発表やポスターセッションの研究発表、3日は現地視察研修を行う。視察は5コースに分かれ、砂防工事を進めている立山カルデラや歴史的砂防施設群、黒部川流域の総合土砂管理、神通川流域の火山対策、県内の世界遺産などを見て回る。最終日の4日は研究発表のほか、パネルディスカッションで大規模な土砂災害と闘ってきた人間の技術、持続的な発展のための水系一貫の土砂流出対策について議論する。閉会式では、ポスター賞表彰式に続き、インタープリベント2018の要約と提言(富山宣言)を提示する。
 インタープリベントは、洪水や土石流、地すべり、雪崩などによる災害の防止・軽減に関する学際的な研究の促進と防災技術・知識の普及を目的とする学会。18年、創設50周年を迎えた。本部所在地はオーストリア。02年から2年に1回、ヨーロッパと環太平洋地域で交互に開かれ、日本国内での開催は4回目。

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