トップページお知らせ >地方ニュース

お知らせ

地方ニュース

北陸工業新聞社
2018/10/06

【富山】普遍的価値、人類の遺産へ/立山砂防「富山宣言」で評価/インタープリベント 

 国際シンポジウム「インタープリベント2018富山(国際防災学会富山大会)」の最終日は4日、富山県が世界文化遺産登録を目指す立山砂防を「人類共通の遺産」とする富山宣言を採択し、閉会した。
 大会は「変動帯における大規模な土砂災害と減災対策」をテーマに、1日から4日間にわたり富山市の富山国際会議場で開催。富山宣言では、多様な土砂災害の実態把握やメカニズム検討、ハード・ソフト対策の技術改良の重要性が盛り込まれた。土砂災害防止の一層の進展に向けた技術開発や適応を効果的に進め、経験・知見・技術の世界的な共有促進を提言した。立山砂防については、▽日本で生まれた防災技術▽総合的な水系管理技術の近代における一つの到達点▽世界中の中山間地に適用しうる普遍性ある防災技術―と位置づけた上で、顕著な普遍的価値を有しており、世界の参考となるよう人類共通の遺産として共有していくべきと評価した。
 大会終了後に石川芳治実行委員長、インタープリベント会長のクルト・ローナー氏、丸井英明実行委員会顧問、今井一之国土交通省砂防計画課長が県庁に石井隆一知事を訪ね、開催結果を報告した。石川委員長は「防災専門家ら492人が参加し、盛会で無事に開催できた」と述べ、宣言の内容を説明。ローナー氏は、立山砂防の高い機能性を評価し、「世界遺産に登録することは防災の大きな象徴となり、人類にとって不可欠」と強調した。石井知事は「登録に向け、力強い励ましになる。あらかじめ災害が起きないように、国土強靭化などの取り組みを今後も進める。立山砂防を世界遺産にすることが防災の研究者や技術者に対し、励ましにもなる。日本の砂防技術は防御しながら、自然と共生するシステムをつくり上げている。立山砂防はその趣旨から、防災であると同時にエコを実現している」と語った。
 4日のパネルディスカッション「大規模土砂生産後の流域スケールの土砂災害対策」では、スイス、イタリア、台湾、日本の取り組みが紹介され、「ソフト、ハード対策を総動員した総合的な防災の取り組みを粘り強く続けていくことが必要」との意見が出された。大坂剛北陸地方整備局立山砂防事務所長は、常願寺川の災害と対策の歴史、直轄砂防事業を説明。特徴的な取り組みとして▽新技術の導入▽防災機能の維持▽重要文化財に指定された既存施設の歴史的・文化的価値の維持―を挙げた。

hokuriku