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建設経済新聞社
2018/10/22

【京都】無電柱化の長期的な整備方針 対象道路の考え方など示す

 京都市は19日、無電柱化の長期的な整備方針となる「今後の無電柱化の進め方」(素案)をまとめ発表した。
 素案については10月24日から市民意見を募るパブリックコメントを開始する。募集期間は11月26日まで。その後、12月に整備方針を策定する。今年度内に今後概ね10年間で整備を目指す道路を示す「実施計画」をまとめ公表する。
 市は、景観の保全・再生、都市の防災機能の向上、安全で快適な歩行空間の確保等を目的として、昭和61年度から無電柱化に取り組んでいるが、多額となる整備費用の低コスト化、地上機器の設置場所の確保、上下水道管・ガス管など既存ライフラインとの共存といった課題があり、事業推進に多くの時間を要している状況。
 概ね5年ごとに見直す推進計画によリ、第1期(昭和61年度〜平成2年度)で烏丸通、御池通、四条通など10・57q、第2期(平成3年度〜6年度)で堀川通、烏丸通など7・65q、第3期(平成7年度〜10年度)で堀川通、御池通、ねねの道など11・25q、第4期(平成11年度〜15年度)で烏丸通、四条通、花見小路、長辻通など13・69q、第5期(平成16年度〜20年度)で北大路通、丸太町通、一年坂・二年坂、産寧坂、八坂通など12・18q、第6期(平成21年度〜)で河原町通、北大路通、松原通、上七軒通、小川通など6・03qの計61・37q(平成30年3月末時点)の整備を実施した。
 今後の無電柱化の進め方には、@基本方針A無電柱化を行う整備対象道路の考え方B無電柱化の推進に向けた具体的な取組を示した。
 基本方針は、▽選択と集中による効果的な整備の実施▽多様な整備手法の活用によるコスト縮減▽市民・事業者との協働による整備の推進の3点を設定した。
 ステップ1として、優先して無電柱化に取り組むべき道路の考え方をまとめ、ステップ2で整備対象道路を抽出、ステップ3で今後概ね10年間で整備を目指す道路を選定する。
 優先して無電柱化に取り組むべき道路の考え方については、○景観の保全・再生(良好な都市景観の創造に資する道路)○防災(都市防災機能の向上に資する道路)○安全・円滑な交通確保(沿道建築物の耐震診断を義務化する道路を含む)の3点を設定した。
 景観の保全・再生は、眺望景観創生条例に基づく視点場等の道路(世界文化遺産周辺の地区を代表する道路を含む)、伝統的建造物群保存地区を代表する道路、界わい景観整備地区を代表する道路、歴史的景観保全修景地区を代表する道路のほか、河原町通・烏丸通・堀川通・御池通・四条通・五条通の6本の幹線道路に囲まれた職住共存の京町家が連担する地区の道路とし、対象道路延長は約59q(うち整備済延長約12q)。
 防災は、DID(人口集中)地区内の緊急輸送道路等のうち優先的に耐震化を図るべき重要路線及び沿道建築物の耐震診断を義務化する道路と、これら道路と合わせて無電柱化のネットワークが形成できる幹線道路とし、対象道路延長は約204q(うち整備済延長約35q)。
 安全・円滑な交通確保は、多数の高齢者、障害者等の移動が通常徒歩で行われる道路の区間のうち、バリアフリー化の必要性が高い道路で、特定道路のうちバリアフリー化が未整備で無電柱化との同時整備が望ましい道路とし、対象道路延長は約12q(うち整備済延長約3q)。
 このほか、道路整備や市街地整備など他事業等との同時整備で経済的かつ効率的に無電柱化が図れる道路なども対象とする。
 今後概ね10年間で整備を目指す道路については、第6期無電柱化計画の候補路線に位置付けられた道路で未着手の道路は引き続き整備を行っていく。ただし現道の抜本的改良を伴う道路については、実施時期等について道路の改良計画との整合を図る。
 地域住民や電線管理者との合意形成が概ね整っている又は整う見込みが高い道路、無電柱化のネットワーク形成に向けて整備済区間との連続性の確保が図れる道路、伝統的な祭り(葵祭・祇園祭・時代祭)の舞台や巡行ルートとなっている道路などの選定要素を勘案し、事業着手の見込みが高い道路や優先度の高い道路を総合的に判断して選定する。
 無電柱化を推進するため、低コスト手法として浅層埋設方式や、小型ボックス活用埋設方式(先斗町で採用)などを活用する。
 今後、中長期的には直接埋設方式の実用化や小型ボックス活用埋設方式の普及に伴う製品単価の低廉化が進むと見込み、これに加えて既存ストックの活用(管路やマンホール等の既存設備を電線共同溝の一部として活用)や管路材の仕様の見直しなどを行い、10年後をメドに30%の整備コスト縮減を目指す。