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建設経済新聞社
2018/11/08

【京都】二条城の台風21号被害対応 国補助活用し補正組み復旧

 京都市は7日、元離宮二条城保存整備委員会(座長・尼ア博正京都造形芸術大学教授)を開き、台風21号被害と今後の対応を報告した。
 9月4日の台風21号で計64本の樹木(うち3本は特別名勝二之丸庭園の指定範囲内)が倒木。倒木の影響で石垣裏の土留の石積(明治期のもの)が損傷した。
 建造物では、二之丸北塀重門の長押塀が倒壊等、33棟にき損(うち21棟は国宝・重要文化財(建造物))。
 今後、倒木及び長押塀は、市で補正予算案を組み、また国の災害復旧事業(補助)を活用しながら、復旧していく予定。国の補助については申請準備を進めている。
 保存整備委では、元離宮二条城修理工事(本丸御殿玄関、御書院及び御常御殿修理工事)の請負契約の締結について報告した。
 事業概要は、重要文化財(建造物)二条城本丸御殿玄関、御書院、御常御殿、台所及び雁之間の4棟について、29〜33年度を工期として、21〜22年度実施の耐震調査の成果を踏まえ、柱間に耐震壁、小屋裏に水平筋違を設置する等の補強工事等を行うもの。
 このうち、本丸御殿玄関、御書院、御常御殿の3棟の修理工事について請負契約を締結した。
 工事内容は仮設工事、基礎工事、木工事、構造補強工事、屋根工事、左官工事、建具工事、金具工事、塗装工事、障壁画修理、雑工事。
 契約相手方は伸和建設−上宗建設特定建設工事JV。契約金額は10億0278万円。
 契約期間は30年10月25日(契約日)〜34年3月31日。
 工事日程(予定)によると、30年11月に着工し、12月〜31年6月に素屋根建設を行い、31年1月〜33年12月に本丸各種工事を実施し、33年10月〜34年2月に素屋根を解体、34年3月に工事完了を目指す。市は「今週末から着工する予定」と報告した。
 なお本丸御殿台所及び雁之間の修理工事は、伸和建設で31年3月に完了する予定。

番所活用で見えない耐震補強
人形展示を再現、空調も設置
 30年度第1回記念物部会の結果について、「30年3月に保存修理を終えた二条城の番所を活用するにあたり、耐震補強の方向性(意匠面)と活用方法を諮った」「耐震補強の方向性(意匠面)について、外部に補強部材が見えない方法をとり、実施設計を進めていくことを承認いただいた」と報告した。水平の筋違を設置する予定。
 番所は、ガイダンスルームとして@番所の価値、当時の利用方法等をわかりやすく説明する場とする。そのため、二条在番による警備の様子を再現した人形展示を一部再現する(常時観覧できるようアクリルパネルを設置する)Aガイドツアーの起点として二条城の概要を学ぶ場とする。そのため、説明用ロールシートを設置し、ガイダンス等に活用するB西間は展示室に、東間はガイダンスルーム等とする。
 各部屋に空調機を設置する(3ヵ所)。
 今後、実施設計を行い、31年度に空調機を設置する。