トップページお知らせ >地方ニュース

お知らせ

地方ニュース

建設経済新聞社
2018/11/28

【京都】「国土ガスハイウェイ構想」 舞鶴と綾部にPLと発電所 府議会常任委員会に報告

 ガスパイプラインの敷設に関する調査や設計、コンサルタント業務を手がける轄蒼yガスハイウェイ(朝倉堅五代表、東京都港区)は、国土ガスハイウェイ構想における北近畿プロジェクトについて、26日開催の京都府議会環境・建設交通常任委員会に報告した。
 日本列島を縦貫する高圧・大口径の基幹ガスパイプラインを国土ガスハイウェイと名付け、高速道路敷地を活用し敷設する構想で、ガスコンバインド火力発電所やガスエンジン発電所を複数建設するなどのプロジェクトも検討している。
 北近畿プロジェクトでは、エネルギーの地産地消により、地域新電力、ガス・熱を利用する新しい産業立地などで地域振興を図る。
 1期事業として▽舞鶴市長浜地区に浮体式LNG受入基地(FSRU)を建設▽舞鶴〜綾部間約23qに高圧ガス導管(口径φ600、最高圧力10MPa)を敷設▽舞鶴市に2ヵ所、綾部市に2ヵ所のガスエンジン発電所を建設(中舞鶴発電所、西舞鶴発電所、綾部T発電所の各8万kwで計24万kw)▽LNGバンカリング(LNG燃料船にLNGの補給を行う)に対応、2期事業として綾部市に大規模ガス発電所を建設(綾部U発電所。30〜50万kw(環境影響評価対象))する構想。
 高圧ガスパイプラインは、一般占用により道路下及び民地下に埋設。工法は開削工法(16・70q)を基本とし、山地部特殊区間は推進工法、山岳トンネル工法(4・25q)を想定する。
 1期事業は3年で導入可能、2期事業は少なくとも10年はかかると見込む。
 全体スケジュール案も示した。1期事業の高圧ガス導管は、2018年度に基本設計及び事前協議、2019年度に詳細設計及び占用協議の上、用地買収を経て2020年度に着工し、2022年度末までに運転開始(工期3年)を見込む。
 発電事業は、2018年度に立地及び売電先選定、2019年度に詳細設計・用地買収・系統接続契約の上、2021年度に着工し、2022年度末までに運転開始(工期2年)を見込む。
 FSRU事業は、2018年度に立地及び事業者選定、2019年度に設計・検討の上、2020年度に着工し、2022年度末までに運転開始(工期3年)を見込む。
 2期事業の綾部U期発電事業は、2019年度に立地及び事業者選定、2020年度から環境アセスメント・詳細設計・用地買収・系統接続契約の上、2024年度に着工し、2026年度までに運転開始(工期3年)を見込む。
 事業費は、1期事業の高圧ガス導管が用地買収を含め150億円、発電所建設は3ヵ所で240億円、FSRU建造・陸上設備建設は90億円と試算。2期事業の綾部U発電所建設は1ヵ所で300億円と試算する。
 府議会環境・建設交通常任委では、日本初の事業であるため支援を要望した。
      ◇      
 京都府は、LNG基地や広域ガスパイプラインが太平洋側に集中し、南海トラフ地震等の大規模災害時における代替機能の確保、国土強靭化などの観点から、京都舞鶴港へのLNG基地の誘致や広域ガスパイプライン整備などLNGインフラ整備促進を計画している。
 府の主な取り組みをまとめると、兵庫県と共同で北近畿エネルギーセキュリティ・インフラ整備研究会を27年度に立ち上げ、中間とりまとめを行った。
 28年度に広域ガスパイプライン沿線の天然ガス需要調査を実施。29年度には一般財団法人国土技術研究センターの技術的検討結果を活用した広域ガスパイプライン(舞鶴〜三田間)の概算費用積算を行った。
 京都舞鶴港へのLNG基地誘致に向けた調査として、LNG基地、LNG火力発電所のレイアウト案の作成、概算費用積算等を行うほか、整備主体となり得る民間事業者からの意見聴取、勉強会の開催を29年度に実施した。
 このほか、米国アラスカ州とのエネルギー資源に関する覚書を27年度に締結(29年度更新)した。
 30年度は、LNG浮体式基地整備等に係る調査(浮体式LNG基地等整備に係る検討、ガス需要増に向けた調査)を行う。