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建通新聞社(神奈川)
2018/12/05

【神奈川】県 10年間で7000戸 県住建て替え

 神奈川県は、今後10年間で県営住宅28団地7000戸を建て替える方針。開会中の県議会第3回定例会で黒岩祐治県知事が明らかにした。また、現行の「県営住宅ストック総合活用計画」で建て替え対象となっているものの、未着手のままの5団地については最優先で進めるとし、前半の5年間で工事着手できるよう検討を進めていくとした。改定作業が進む現行計画については、「県営団地再生計画」と統合し、新たに「神奈川県県営住宅 健康団地推進計画」として策定する考えだ。月内に新計画に対するパブリックコメントの受け付けを開始する予定。
 黒岩知事は県営住宅の現状と見通しについて、「老朽化から空き家が増加していることで、家賃収入が減少。整備が計画的に進まない悪循環に陥っている」「今後10年間で建設から50年を経過する施設が全体の6割に達する」と説明。
 その上で、「悪循環からの脱却には居住性能の改善が重要」とし、改修では対応困難な住宅について建て替えを進める考えを示し、当面の建て替え対象を28団地7000戸とした。
 最優先で建て替えが行われる見込みの団地は、▽伊勢原テラス▽追浜第一団地▽上溝団地▽鶴ケ峰団地▽二宮団地―の5団地。現行の計画では、部分建て替えの集約型として位置付けられている。
 また、今後の住宅戸数については、入居対象となる住宅困窮者が現在と同程度見込まれることから、4万5000戸を維持するとの考えも示した。
 この他、コミュニティールームを整備するなどして、地域や福祉団体の交流を促し、団地を活性化させるとしている。「持続的に住宅セーフティーネットの中核を担う」(黒岩知事)ためだ。
 県営住宅ストックの在り方を示す「県営住宅ストック総合活用計画」は、2013年9月に策定されたもの。それから5年が経過したことから、県は県住宅政策懇話会などで改定作業を進めてきた。「県営団地再生計画」と統合させた新たな計画については、19年1月まで素案に対するパブリックコメントが行われる見込み。計画策定は同年3月の予定。
 新計画について黒岩知事は、建て替えに集中すること、PFIなどの民間活力を導入することなどを盛り込むとした。さらに、余剰地の売却収入や家賃収入の増加といった、さまざまな工夫によって、「県財政の負担を増大させることのない事業推進を基本とする」とした。
 県営住宅ストック約4万5000戸のうち、約3万戸は1970年代以前の建設で、その大半を占める階段室型中層棟はエレベーター設置による完全バリアフリー化が困難な状況にある。

提供:建通新聞社