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北海道建設新聞社
2018/12/11

【北海道】事業費高額で新スケートリンク見送り 厚岸町、検討は継続

 厚岸町は、事業化に向け調査を進めていた宮園公園スケートリンク整備が、高額な事業費など町民の理解を得ることが難しいと判断し、事業の見送りを決めた。若狭靖町長は4日に開かれた総合教育会議で「スポーツ振興の観点から、今のスケート場で満足できるものではない」とし、安価に整備できるか検討を進める考えを示した。
 宮園3丁目7に位置する同施設は1992年に総工費3億4000万円を投じて整備。延長400m、幅15mのリンクを有し、スタンドは700人を収容。このほかRC造、2階、延べ166m²の管理棟がある。
 完成直後の93年1月に発生した釧路沖地震や翌94年の北海道東方沖地震などによってリンク面に亀裂や地盤沈下が発生。縁石のかさ上げなどの対策を施したが地盤沈下の高低差は30cm以上になり、抜本的な改修は難しいことから2012年以降は低い箇所に土砂を投入し降雪を待って圧接し、散水してリンクを造成していた。
 しかし、近年は暖冬傾向が続き、積雪も少なく思うように結氷することができず、供用日数は20―40日にとどまった。
 町はこうした現状から、町出身のスピードスケート選手である佐藤綾乃選手が平昌オリンピックで金メダルを獲得したことを受けスポーツ振興の観点から同施設刷新に向け調査を開始した。
 調査では、管理棟やスタンド、照明設備などがそのまま利用できることから現地での改修を検討。その結果、基礎地盤改良では支持杭の打ち込みに7億7400万円、リンク舗装2億3700万円など約10億円の費用がかかることが判明。さらに、不凍液をパイプに流し、水を凍らせるパイプ式リンクを導入すると追加で約10億円の費用が必要と試算した。
 これらの調査結果を受け、町教育委員会は財政面とスケートリンクがスポーツ振興に果たす役割を総合的に検討した結果、町民の理解を得ることは難しいと結論付けた。
 若狭町長は「とてつもない金額で、そう簡単にできるものではない」としながらも、町内でスケートを楽しめる場所が同施設しかなく、冬場の健康増進の観点からもスケート場は必要と強調。「まだまだ研究する余地はある」と述べた。