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建通新聞社(東京)
2019/02/06

【東京】都入契改革の本格実施 不調率改善、JV落札割合が上昇

 東京都財務局は、入札契約制度改革の本格実施後の契約状況をまとめた。不調(発生)率は同局が契約する案件、各局契約案件とも前年度の試行期間よりも改善し、平均落札率は財務局案件で横ばいだったのに対し、各局契約で低下した。平均(入札参加)希望者数と平均応札者数は、財務局契約、各局契約とも試行期間より減った。共同企業体(JV)結成義務の撤廃関連では、混合入札でJVが落札する割合が試行期間よりも増加。総合評価落札方式では、JV結成による技術点加点により、入札額が高かったJVが低かったJVを“逆転落札”するケースもあった。今後、2月中に建設関係5団体と意見交換を行い、制度上の課題や見直しの必要性などについて検討する。2月6日に開いた都入札監視員会制度部会で説明した。
 都では2017年度に試行した入札契約制度改革の課題を踏まえて制度の見直しを実施。予定価格は事後公表を原則としつつ、小規模案件は事前公表に戻した。混合入札は継続する一方、総合評価方式でのJV結成に対する加点幅を引き上げ、「技術者育成モデルJV工事」を設定して中小事業者のJV参加機会を確保。1者入札の中止は廃止した。18年6月の本格実施後、財務局では307件、各局では1677件を開札している。
 平均落札率については、財務局契約で試行期間中を0・1ポイント上回る93・7%、各局契約で同0・7ポイント減の92・8%となった。不調率は財務局契約で同2・9ポイント減の14・7%、各局契約で同5・8ポイント減の17・4%となり、いずれも試行期間を下回った。平均希望者数と平均応札者数は、財務局契約で4・8者(試行期間中6・2者)と3・7者(同4・9者)、各局契約で8・8者(同10・2者)と4・2者(同5・3者)で、いずれも試行期間より減少した。これについて都では、「マーケットの動き(公共・民間とも建設投資が増加し技術者が不足)も影響しているのではないか」と見ている。
 JV結成義務の撤廃関連では、混合入札での平均希望者数は5・1者(JV1・0者、単体4・1者)で、試行期間中の5・7者(JV0・7者、単体5・0者)を下回ったものの、制度改革前の2・6者を大きく上回った。また、JVの落札割合についても、本格実施後は19・8%(単体が67・4%、不調が12・8%)となり、試行期間中の14・9%(単体が68・6%、不調が16・5%)よりも増えた。中小企業の受注状況についても、件数ベースで67・7%(試行期間中53・3%)、金額ベースで55・2%(同36・2%)となり、件数・金額ともに増加している。
 総合評価方式を採用してJV結成による加点対象となった工事は32件(試行期間中50件)あり、そのうち37・5%に当たる12件(同18・0%、9件)で実際にJV加点がされ、このうち8件(同4件)を加点措置を受けたJVが落札した。JV結成による技術点の加点により、入札額が高かったJVが低かったJVを逆転して落札したケースも2件あった。
 低入札価格調査制度の拡大に関しては、低入札調査を実施した全ての案件で調査対象者が失格となり、そのうち46・7%が失格基準(数値的または工事成績)に該当し、51・4%が調査票を提出しなかった。

提供:建通新聞社