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日刊建設工業新聞
2019/03/12

【鳥取】不服申立人の主張認める/工事成績異義申し出

 県建設工事等入札契約審議会(会長・谷口朋代鳥取大学大学院工学研究科教授)は8日、舩越建設(大山町)が不服を申し出た工事成績について審議し、「出来形」の評価をやり直すよう県工事検査課に求め、申立人である同社の主張を認めた。
 昨年11月に完成検査した西原B砂防堰堤工事(4工区)(交付金)(経済対策)=米子市淀江町=(工期18年3月から10月)をめぐり、同社は昨年7月にあった中間検査の出来形管理に異義を申し立てた。工事成績は80点だった。
 中間検査で検査員は、出来形管理の評価を「資料がまったく整備されていなかった」として保留。その後、完成検査時に再評価すると説明していた。これに対し申立人は「(中間)検査に必要な資料は全部そろえていた」と主張し、両者の言い分は真っ向から対立した。
 堰堤の出来形について、申立人は「予算の状況によって打設高は(中間検査時に)決まっておらず、出来形管理は不要だった」と指摘。対する検査課は「監督員や施工者から特段の説明がない限り、出来上がった施工部分を対象に検査するのが一般的だ」と反論し、申し立ての棄却を求めた。
 入契審では「出来形のとらえ方に(双方)不一致があり、(申し立てを)差し戻しにしたい」(谷口会長)とし、さらに「評価そのものをやり直していただきたい」と言い渡した。今後、監督員(発注者)側と検査課が検査対象を明確にした上で、検査をやり直す。

「論点解説」

 今回の不服申し立てでは、中間検査での出来形管理が問題になった。受注者側は「検査時に堰堤の打設高は定まっておらず、測点管理は不要だった」と主張。一方の検査課は、監督員と受注者のやり取りを知らされておらず、出された資料に沿って検査する立場。このため「検査対象を明確にし、資料を整備してから検査依頼すべきもの」として譲らなかった。
 受注者と検査員、双方に落ち度は見当たらず、なぜボタンの掛け違いが起きたのか。そもそも前提条件である出来形に対する認識がずれていた。
 打設高は完成形なのか、まだ不完全なものなのか―入契審が指摘したのは発注者である監督員と、検査員のコミュニケーション不足だ。監督員は受注者と協議の上、最初から検査対象を明確にしておくべきだった。この辺りの曖昧さが、受注者側にだけ不利益となって降りかかってしまった。

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