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建通新聞社四国
2019/03/15

【高知】高知・種崎千松公園堤防整備の計画案

 高知港海岸景観・利便性等検討会(委員長=磯部雅彦高知工科大学学長)は8日、高知市内で第5回会合を開き、景観や利便性に配慮した構造を検討してきた種崎千松公園堤防整備の計画案を取りまとめた。これまでの会合や地震津波対策検討技術会での意見、管理者や利用者へのヒアリングを基に、南端部展望テラス、壁式堤防の意匠、中央展望台、盛土堤防の意匠、捨石護岸、動線機能、結節部の検討の7項目で施設配置案を示した。
 浦戸湾周辺では、国と県が「三重防護」と呼ばれる南海トラフ地震対策を進めているが、観光地である種崎と桂浜については景観に配慮した整備を検討、先行して種崎千松公園の整備方針をまとめている。前回までの会合で、盛土構造と壁式構造を組み合わせた堤防を整備し、両堤防の結節点に階段を設ける平面配置案を選定した。その後、海岸管理者である高知県と利用者の種崎観光協会から意見や要望を取りまとめ、景観や利便性に配慮した施設配置の条件を設定し、整備計画案をまとめた。
 計画案によると、公園の正面玄関に当たる南端部の津波防波堤との結節部では、堤防の高さに身障者用駐車場を設置する他、眺望機能と駐車場から砂浜までの動線を兼ねた展望テラスを配置する。壁式堤防の意匠では、長大なコンクリート壁の圧迫感を解消し、単調な見え方とならないよう検討を進め、表面はシンプルでありながら変化をつけた堤防法線と前面の盛土・植栽によって圧迫感を軽減する。
 公園中央部の壁式堤防と盛土堤防の結節点付近では、眺望・監視機能や階段としての機能を持つ展望台を配置する。構造上の結節点とは切り離した場所に整備し、基礎をシンプルな構造とすることで防災面の弱点をカバーする。盛土堤防の意匠では、小高い築山、園路の切り通し、広場空間を施す。堤防と砂浜との境界に敷かれる護岸は、洗掘防止機能の確保と海岸景観、利用面への影響などとの観点から工法を捨石護岸とした。
 動線機能では、維持管理、一般利用時、避難時に分け検討。このうち管理用通路は公園駐車場(南端)を起点に園内一周を車両通行可能とし、海側は海水浴客の利用に配慮し遮熱性舗装を検討する。園路は柵のあるスロープ、柵のないスロープ、階段を適宜配置する。3カ所の結節部の検討では、津波防波堤との結節部を壁式(鋼管矢板基礎)構造接続案、壁式堤防と盛土堤防の結節部と北部防波堤との結節部ではコンクリート構造(重力式構造)により接続する案を示し、地震・津波に対し弱点とならないよう止水性を確保する。
 これらを基に策定した整備計画案を踏まえ、19年度以降は詳細な設備配置や結節部の構造、津波防波堤との接続に関して協議する。また並行して進めている地震津波対策技術検討会に対しては、種崎千松公園が一般利用の他、津波防波堤の釣り場や遊覧船の係留も想定されることから、景観・利用面に配慮した断面形状について技術的観点からの検討を求める。

提供:建通新聞社