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建通新聞社四国
2019/03/22

【香川】香川県19年地価公示概要 下げ止まり傾向より顕著に

 国土交通省土地鑑定委員会が毎年1回、標準地の正常な価格を公示する、2019年の香川県地価公示の概要が明らかになった。香川県環境森林部が明らかにした。県全体の住宅地、商業地、全用途平均の対前年平均変動率(平均変動率)は、1992年以降28年連続で下落しているものの、全用途とも下落率は縮小。県全体の平均値は0・1%減と前年の0・4%減より縮小した最も小さな値を示し、底打ちに近い「下げ止まり傾向」がより顕著となった。高松市では住宅地、商業地、全用途平均のいずれも上昇し、2年連続の上昇となった。
 1月1日現在の県内8市8町(直島町を除く)のうち都市計画区域177地点と区域外2地点の179地点を調査。このうち前年からの継続地点177地点のうち43地点で「価格が上昇」(前年37地点)、35地点(前年31地点)で「変動なし」、99地点(前年111地点)で「下落」するなど、価格上昇地点が前年に比べ大幅に増えた。下落地点は減少した。
 用途別を平均変動率で見ると、住宅地は0・1%減(前年0・4%減)、商業地は0・1%減(同0・3%減)となり、いずれも下落幅が前年よりさらに縮小した。
 また、市の平均変動率を見ると、住宅地0・0%(前年0・3%減)で、91年以来、下落以外の変動率。商業地は0・1%上昇(同0・2%減)、全用途平均0・0%(同0・3%減)と、91年以来の上昇、あるいは下落以外を示す結果となった。
 このうち高松市は、住宅地0・4%上昇(前年0・2%上昇)と2年連続の上昇。商業地も0・7%上昇(前年0・5%上昇)と顕著な伸びを示し、2年連続の上昇となった。全用途平均でも0・5%上昇(前年0・3%上昇)し、こちらも2年連続の上昇。
 しかし、その他の市町では三木町の住宅地の横ばいを除き、住宅地、商業地、全用途平均のいずれも下落した。高松市以外の上昇地点を見ると、丸亀市は1地点(前年はゼロ)で丸亀城周辺の生活利便性の高い閑静な住宅地域。横ばい地点は丸亀市5地点(前年2地点)と三木町2地点(前年同様)。
 商業地では高松市以外の市町での上昇地点は無く、横ばい地点が丸亀市3地点(前年2地点)、宇多津町が1地点(前年同様)。
 一方、住宅地の最高価格地点は「高松―3、高松市番町3ノ14ノ8」で、1平方b当たり24万円。変動率は4・3%の上昇。商業地は「高松5―1、高松市磨屋町2ノ6他、あなぶきセントラルビル」で、1平方b当たり42万3000円、変動率3・7%の上昇。いずれも最高価格地点と変動率上位1位の地点が同じ地点となった。
 県内の地価動向について国土交通省土地鑑定委員会地価公示香川分科会代表幹事で、鈴木不動産鑑定事務所の鈴木祐司氏は、住宅地について「県全体として、人口減少および高齢化率の上昇などによる宅地需要減少により28年連続で下落した。ただし、下落幅は年々縮小傾向にあり、県全体の平均変動率はマイナス0・1%と極めて小さな値となっており、下げ止まり傾向が顕著となっている」と分析。
 商業地については「県全体で郊外大型商業施設への顧客の流出が続いており、旧来の商店街の不振など中心商業地域の空洞化が依然として認められ、宅地需要は減退傾向が続き、地価は28年連続で下落した。ただし、下落幅は年々縮小傾向にあり、県全体の平均変動率は年間マイナス0・1%と極めて小さく、下げ止まり傾向が顕著」とコメントした。
【鈴木氏コメント】
【住宅地】 
 高松市の地価動向は、56継続地点中、上昇25地点(前年21地点)、横ばい19地点(前年20地点)となり、高松市全体で0・4%の上昇と、2年連続の上昇(前年0・2%上昇)。
 上昇地点は大きく二つのエリアを中心とし、一つは▽市街地中心部付近の、生活の利便性の高い地区で具体的には番町・錦町・桜町・上之町・昭和町・宮脇町・浜ノ町など。
 もう一つは▽宅地開発が活発で地区内人口が増加している郊外の新興住宅地域であり、価格水準が比較的低位で標準的なサラリーマン世帯が購入しやすい価格帯に収まる地域(多肥上町・仏生山町・太田上町・太田下町・木太町・春日町など)。いずれのエリアもその範囲は拡大。
【商業地】
 高松市の地価動向は25継続地点中上昇17地点(前年16地点)。横ばい2地点(前年2地点)となり、高松市全体で0・7%上昇と2年連続の上昇。上昇地点は主に高松市中心部の商業地域と主要路線沿線の商業地域。
 高松市の中心商業地域では賃料は一定の水準を確保しているため、長年の地価下落によって土地価格に対する利回りも改善されてきている。外国人観光客の増加に伴うホテル需要を見込んだ動きも見られる他、立地条件が良好でまとまった画地規模があれば、マンション用地としての需要も認められる。高松市全体として、景気回復に伴い商業地需要はやや回復傾向にあり、値頃感から地価はやや上昇傾向にある。
 一方、依然として収益性が見込まれず、宅地需要も低調な郊外の商業地域もあり、二極化傾向が見られる。

提供:建通新聞社