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鹿児島建設新聞
2019/03/28

【鹿児島】県土木部/適正工期へ統計開始

 無題000 県土木部は、過去の工事実績を基に設計金額と工事日数の相関関係を分析し、標準的な工期を推算できる統計を始めた。2010年以降のビッグデータを生かした初の取り組みで、設計金額を入力して推計工事日数をシミュレーションできる仕組みも構築。工事成績評定(工程管理)の判定基準として活用し、働き方改革の課題となっている適正工期の確保にもつなげたい考えだ。

 過去の膨大な工事実績から、工期設定の水準を客観的に判断できる統計。県土木部が2010年1月〜19年2月末に完成検査を行った予定価格250万円以上(18年2月以降は当初契約額500万円以上)の工事を対象に、工種別で5件以上の実績があるものを取りまとめた。
 統計は、各工種で必要な工事日数が大きく異なるため、成績評定の区分や現場の施工実態を踏まえて108工種に設定。施工年度は、単年度または複年度にグループ分けし、複年度のデータを使って回帰計算を行うことを原則(短期完成の工種は例外あり)とした。その理由について、県土木部工事監査は「年度末による工期短縮の必要性がなく、いわゆる自然体≠ナ施工されたと考えられるため」としている。


■同金額でもバラつき

 道路改良工事を例に、相関関係=グラフ参照=をみると、同一の設計額であっても、単年度で完成した工事が複年度で完成した工事よりも短い日数になっている傾向が分かる。年度末完成を見据えてタイトな工期設定が行われていたとみられ、このバラつきが適正な工期設定を求める受注者の声を生んだ背景にある。
 今回の統計と併せて、県では回帰式の関数を組み込んだシミュレーション(Excel版)を作成。工種を選んで設計金額を入力するだけで、推計工事日数が算出できる仕組みとなっている。
 建設工事は、各案件で固有の現場条件があるため、発注前に必要な工期を決定するのは難しい部分がある。こうした観点から、県土木部工事監査は「実用的な精度で理想の工事日数を推計すれば、適正な工期もおのずと見えてくる」と統計に踏み切った。
 推計された工事日数は、工事成績評定の工程管理を判定する上で「標準的な工期」として活用される見通しだ。

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