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建通新聞社(東京)
2019/08/23

【東京】国交省・都が協議会立ち上げ 水害対策で連携

 国土交通省と東京都は、都内の低平地を対象とした水害対策を話し合う実務者レベルの協議会を立ち上げる。8月21日に石井啓一国土交通相と小池百合子都知事が合同で東京都江戸川区の高規格堤防を視察した際に都知事が提案。石井国交相は「まちづくりを担う都と直轄河川を整備する国交省が連携するのは非常に重要なこと」と歓迎した。今後、国と都で対象とする災害や対策メニューの範囲などを詰め、早期の開催を目指す。
 協議会では、都内の海抜ゼロメートル地帯を対象に、激甚化・頻発化しつつある水害への備えを国交省・都の実務担当者が話し合う。高規格堤防の整備に特化するかどうかなど、検討テーマの詳細は今後決める。地元の意向を踏まえながら、会議を通じて具体的な対策を検討・具体化する場としたい考えだ。
 高規格堤防は、堤防高さの30倍程度の幅を備え、背後の勾配が広くなだらかな構造となっている。背後地を含めて大規模な盛土が必要なため、市街地再開発や土地区画整理、公園整備など官民のまちづくり事業と連携した共同事業という形で整備している。首都圏では、計画延長約90`のうち整備済み区間は10・9`にとどまる。今後の整備区間は背後に木造密集地を抱えている箇所も多い。
 石井国交相と小池都知事は、都の再開発事業(密集市街地の不燃高層化)と合わせて整備した小松川地区の高規格堤防を視察した。
 石井国交相は「今後、豪雨のさらなる頻発化・激甚化は確実だ。気候変動に適応した治水計画への転換が必要だ」と指摘した。その上で、都心部での大規模水害について「多くの人命が失われ、壊滅的な被害が発生する。国全体の社会経済活動へも影響が及ぶ」と危ぐ。海抜ゼロメートル地帯の水害リスクを低減するため、都・区と連携し、高規格堤防の整備をはじめ、安全なまちづくりに取り組む姿勢を強調した。
 小池都知事は、小松川地区の高規格堤防整備に伴う大規模な嵩上げで20万人規模の避難場所が確保できたことを踏まえ、「国と都が一体となって実現できた好事例であり、モデルと言える」と述べた。

提供:建通新聞社