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北海道建設新聞社
2019/08/28

【北海道】停電対策などに重点 札幌市の強靱化計画改定素案

 札幌市は27日、強靱(きょうじん)化計画の改定素案を明らかにした。新たに北海道胆振東部地震の経験や持続可能な開発目標の視点を取り入れる。重点方針に@大規模停電対策A建築物・インフラ・大規模造成地対策B市民、観光客に安全・安心を提供する環境づくり―を掲げ、ソフト、ハード両面で取り組みを強化する。有識者の意見などを反映し、12月の成案化を目指す。

 国土強靱化基本法に基づき、大規模な自然災害に対する備えを着実に進めるための地域計画。現行計画の期間は2019年度末までの5年だが、昨年9月の胆振東部地震などを踏まえ、1年前倒しで改定作業を進めている。
 
 同日の改定検討委員会(委員長・佐々木貴子北海道教育大札幌校教授)に素案を示し、意見を聞いた。
 
 素案によると、回避すべき最悪の事態として6分野22の「リスクシナリオ」を設定。「旅行者を含む大量の帰宅困難者の発生」「災害対応体制整備の不備による被災者支援の遅れ」など、震災検証や国の基本計画改定を反映した5つのシナリオを追加した。

 基本目標は従来の「生命、財産や社会機能の保護」に加え、「迅速な復旧・復興」「経済の成長」を明記。新たに「SDGs(持続可能な開発目標)達成寄与」を掲げている。

 基本目標や重点方針は、現計画が示す国のバックアップ機能発揮など災害の少なさを前提にした施策の打ち出しが薄れ、震災経験・課題を教訓にハード、ソフトの両輪で備えを強化する方向に大きく転換した。

 個別施策もこれを反映。インフラや建築物の耐震、老朽対策や災害対策庁舎機能の確保などハードの着実な推進とともに、冬季対応や外国人観光客への情報提供強化などソフト拡充を重点化した。連携中枢都市圏を踏まえ、広域連携の検討も盛り込む。

 計画期間は中期実施計画と連動し、19―22年度の4年に変更。個別施策は達成目標を設定して計画の進ちょくを管理する。

 市は有識者意見の反映後、議会や市民意見を踏まえ年内の計画策定を目指す。