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北海道建設新聞社
2019/08/29

【北海道】道開発予算要求8150億円 厚真川水系の恒久的砂防を推進

 国土交通省北海道局は28日、2020年度北海道開発予算の概算要求を公表した。一般公共事業費に当たる開発事業費は国費で前年度当初比19%増の6599億円、事業費で20.7%増の8150億円で、10年度予算要求に次ぐ水準。厚真川水系の恒久的な砂防や中小河川の治水対策、空港やICに接続する高規格道路の整備拡充、農業農村整備による農地拡大などが軸。うち優先課題推進枠には事業費ベースで2013億円を要求し、交付金にも上積みしている。

 最優先課題として「胆振東部地震等からの復旧・復興と防災・減災、国土強靱(きょうじん)化」と「『民族共生象徴空間(ウポポイ)』を通じたアイヌ文化の復興等の促進」の2点を設定。「農林水産業・食関連産業の振興」や「世界水準の観光地の形成」といった第8期北海道総合開発計画に掲げる「食と観光」の推進、生産空間の維持発展に注力する。

 道路は、道路整備と道路環境整備合わせて19.8%増の2639億4700万円を要求し、人流や物流を支える高規格道路ネットワークの構築が柱で、ニセコ地区の観光客増加を支える倶知安余市道路の倶知安―共和、共和―余市の2区間の整備を推進。地域高規格道路でも道央圏連絡道路の長沼南幌道路、中樹林道路の整備促進のほか、空港道路については20年度完成を目指す。

 治水は18.5%増の1099億円で、激甚化・多様化する水害や土砂災害防止に向け石狩川、十勝川、天塩川などで河川改修を推進する。ペーパン川など被災した道管理の中小河川でも河道掘削など治水対策の予算を求める。胆振東部地震で被災した日高幌内川など厚真川水系の直轄砂防事業による恒久対策も継続して進める。

 直轄ダムは幾春別川総合開発新桂沢ダムや沙流川総合開発平取ダム、雨竜川ダム再生事業調査費など前年度当初比1.4%増の213億円を求めているほか、治山は16年8月台風の風倒木被害などで3割増としている。

 農業農村整備は22.3%増の9530億円と最も高い水準の要求額。農地の大区画化、かん排事業による用排水改良などを進め、ICT農機を活用したスマート農業導入も加速させる。水産基盤整備は苫小牧港の屋根付き岸壁など衛生管理施設の強化なども図る。

 港湾は5.2%増を要求し、国内物流強化の観点から苫小牧港の複合一貫輸送ターミナル改良や函館・小樽港のクルーズ船受け入れ対応などを継続。空港は、新千歳空港の国際線ターミナルと駐機エプロン拡張などが19年度完了するため、要求時点で4.8%の減となっているが、末端取り付け誘導路や平行誘導路の複線化などにも取り組む。

 20年4月開業を控える民族共生象徴空間(ウポポイ)の公園整備完了で、国営公園は4割減となったが、来客100万人を目指した広報活動を展開する。