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建設新聞社
2019/09/12

【東北】産学官民連携で震災伝承を推進/設立式典を開催/3.11伝承ロード推進機構

 東日本大震災の教訓を伝承していくための新組織「一般財団法人3・11伝承ロード推進機構」(今村文彦代表理事)の設立式典が10日、仙台市の仙台国際ホテルで開かれた。今後は産学官民の連携により、震災伝承施設などに関する情報発信や、防災力向上のための教材・プログラム開発・提供、震災伝承ツーリズムとの連携などの活動を積極的に展開していく方針だ。
 この法人は、大震災などの災害の経験や記憶を貴重な教訓として語り継ぎ、情報発信することにより、多発する激甚災害に対する防災力向上と被災地の活性化を産官学民連携で支援しようと東北経済連合会(海輪誠会長)と、東北地域づくり協会(渥美雅裕理事長)が共同で8月1日に設立した。事業内容として▽震災伝承施設に関する情報発信・広報▽被災地の復旧・復興に関する情報発信・広報▽防災力向上のための教材・プログラムの開発・提供▽震災伝承施設などとツーリズムの連携▽防災・減災のための調査・研究―などを想定している。
 10日の記念式典で今村代表理事は「東日本大震災の教訓を後世に語り継ぐ震災伝承の動きが各地で本格化しているが、震災遺構は複数の県にまたがり広大なエリアに数多く点在している。来訪者が効率的に巡ることができるようにするには情報を分類整理しネットワーク化することが不可欠。新組織ではこうした取り組みを通じて防災に対する知識・意識の向上と地域活性化に貢献していきたい」との決意を示した。
 また東経連の海輪会長は設立者を代表して「東日本大震災を経験した産学官民が連携し長期的な視点で震災の記憶・記録を国内外に伝承、国土強靭化につなげていくことは重要な意義がある」と協調した。
 来賓の村井嘉浩宮城県知事は「広域的・持続的に伝承活動を展開していくことは単独で取り組むよりも発信力が強化され、頻発する自然災害への防災意識向上に役立つ」、学都仙台コンソーシアムの平川新会長は「震災遺構の保存に関わってきた一人として、新組織設立が実現したことを喜んでいる」、東北地方整備局の佐藤克英局長は「産学官民の関係者で設立した推進機構が、行政とも連携して教訓を語り継ぐよう期待している。国内外から多くの来訪を促し防災力向上と東北全体の活性化につながればと考えている」とそれぞれあいさつ。山本正徳宮古市長、亀山紘石巻市長、清水敏男いわき市長も期待の言葉を寄せた。
 また、東京都市大学特別教授の涌井史郎氏が「震災の足跡でつなぐ被災地の未来〜東北にねづく克災の精神〜」をテーマに講演した。

提供:建設新聞社