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北陸工業新聞社
2019/09/12

【富山】とやま建設イノベーション/岡部がICT無人化施工を実践/北陸初、立山砂防の渓岸対策で/建機協力はヨシカワ 

 北陸地方整備局立山砂防事務所が発注し、岡部(本社・富山市八人町6―2、岡部竜一代表取締役社長)が受注した「H31有峰地区渓岸対策(二の谷)工事」は、北陸初のICTマシンガイダンスによる無人化施工で工事が進められている。
 同局が進める、チャレンジ砂防プロジェクト第1弾「ICT砂防・ほくりく」の一環として実践しているもの。
 現場の立山町芦峅寺の有峰二の谷では、2011(平成23)年8月に2回にわたり土砂崩壊が発生し、約22万立方メートルの土砂が下流の湯川に流下。8万5000立方メートルが二の谷に堆積し、今も6万9000立方メートルが堆積していると試算されている。
 現在は落ち着いているものの、不安定な土砂が多く存在し、降雨時に異常がなくてもいつ斜面が崩壊するか分からない状況。土石流発生時は堰堤施工部が1分、河床掘削部では1・5分以内に土石流が到達すると想定され、工事の際は作業員を一切立ち入らせず、流出土砂の除去を行う必要があるため、無人化で施工することになった。
 今工事では、掘削・土砂運搬工1万500立方メートル、盛土工3000立方メートル、大型土のう工の345袋を無人化で施工。有人施工でコンクリート堰堤本体工514立方メートルを施工する。
 遠隔操作で施工するため、現場にはカメラ2台を設置した建設機械を計4台配備。内訳は、掘削機(バックホウ)が1・4立方メートル、0・7立方メートル、0・45立方メートルの各1台、クローラダンプ(11トン全旋回キャリア)1台。このうち、1・4立方メートルがICTマシンガイダンス対応、0・45立方メートルはカメラ専用車として使用している。
 また、遠隔地の安全な場所には、コンテナハウス2棟を配置。1棟はオペレーター室(遠隔操作室)、一方は土石流発生の危険性をチェックし、知らせるための監視員室と作業員の休憩室として利用している。
 現場では、人工衛星(GNSS)の計測技術を用いたICTマシンガイダンスで施工。GPSを使用し正確な掘削深さや重機の位置、掘削計画ラインなどを、オペレーター室のモニターで確認しながら操作できるため、正確な作業が行えるようになった。これにより、安全性のほか、作業効率の向上や工期短縮、省人化、熟練のオペレーター不足にも対応できる。
 今工事の実工期は5月13日から11月29日まで。現場の土工は10月中に完了の予定。建設機械のレンタル、システムなどはヨシカワが協力している。
 北陸整備局のチャレンジ砂防プロジェクトは、18年12月に始動。砂防特有の要因で、i―Constructionの普及が進んでいない現状を踏まえ、(1)導入促進(2)技術開発(3)UAV活用(4)BIメートル/CIメートル活用―の4つのワーキンググループを設け、分野ごとに課題を克服し、21年からの本格的なICT施工の導入を目標に定めている。

hokuriku