トップページお知らせ >地方ニュース

お知らせ

地方ニュース

建通新聞社四国
2019/10/16

【香川】香川県 新県立体育館基本設計状況を示す

 香川県は、県議会の「県立体育館整備等に関わる特別委員会」にこのほど新県立体育館基本設計の進捗状況と検討状況について報告した。特別委員会からプロポ―ザル方式での参加要件や施設内の風除室設置の在り方、屋根材、外周部その他などでの質疑に加え、地盤調査による杭の延長が当初の深さ17bから最大50bになり、杭仕様変更に伴い、建設工事費が約10億円必要になるとした報告を巡り、予算枠内の厳守を理事者側に強く求め、一時紛糾した。今後、県議会からの議論の経緯を踏まえて機能性や収益性を重視したアリーナ機能の充実や建設工事費の適正化を図りつつ、新県立体育館が利用しやすい魅力ある施設となるよう基本設計を取りまとめる。
 新県立体育館はサンポート高松の敷地約3万1400平方b(A1街区、A2街区、B1街区およびその間の高松市道)にメインアリーナ、サブアリーナと武道施設兼多目的ルーム、駐車場などで構成する鉄骨造、鉄筋コンクリート造、建築面積約1万9900平方b、延べ床面積2万8000平方bの体育館を建設する。
 事業費は建設工事費(設計費、調査費、工事監理費、インフラ整備費、道路上デッキ整備費を除く)170〜190億円。ただし労務単価の上昇、撤去が必要な埋設物の状況などにより事業費は変動するとしている。
 現スケジュールでは2018〜20年度に基本設計・実施設計、21〜23年度で建設工事を進める。
 基本設計・実施設計はSANAA事務所で18年11月14日〜21年1月29日までの設計期間で進めている。
 特別委員会への報告によると、施設の平面形状を委員会からの指摘を受けてプロポーザル時には楕円(だえん)形としていたが、メインアリーナとサブアリーナを正円に、武道施設兼多目的ルームは長方形に見直した。
 さらに1階アリーナレベルを現状地盤面から約80a下げ、観客席のある2階面はプロポーザル時の約2bから約2・8b上がった高さに見直しした。メインアリーナ東側と南側で垂直に立ち上がる部分が生じている。
 屋根、外周部で屋根材、工法についてはプロポーザル時に耐久性に優れた「チタン亜鉛合金」から、今回、防水性が高く、施工事例も多数あり、耐久性でそん色のない「ステンレスシーム溶接工法」がSANAA側から提案された。
 アリーナ外周部は床から高さ2・5bまでをガラス、それより上部は垂れ壁とし、個々を平面ガラスとした上で、徐々に角度を変えながら曲線状に配置する。材料調達や施工がしやすく維持管理も容易な仕様に見直されていると県は報告した。
 主要施設でメインアリーナのコート数はバレーボール4面、バスケットボール3面、ハンドボール2面を確保。観客席は固定席5024席を設置しアリーナ面に設置する仮設席と合わせ中四国最大級の収容人数となる。
 床はコンクリート床とし床荷重は1平方b当たり5d確保。空調設備は大空間における空調効率が高く、競技などへの影響を抑えることができる「居住域空調方式」が提案されており、音響設備は交流エリアと観客席上部の間に壁が無く、一体の大空間とすることでロングパスエコーの解消を図る。
 この他、騒音、振動対策、遮光対策やバリアフリー対応、トイレ配置などの対応が示された。交流エリアはプロポーザル時よりアリーナ・観客席を東側に寄せた。
 一方、サブアリーナのコート数はバレーボール2面、ハンドボール1面を確保。観客席は固定席1032席を設置し車いす利用者用観客席も確保する。
 武道施設兼多目的ルームは、柔道または剣道3面を確保。観客席は固定席315席を設置し車いす利用者用観客席も確保する。プロポーザル時に提案のあった2階から見下ろすことができる交流エリアは廃止した上で、1階からのみの出入りとし、分割しやすいよう、ほぼ箱型の形状として構造方式も見直す。

提供:建通新聞社