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建通新聞社(神奈川)
2019/10/23

【神奈川】横浜市 市大2病院再整備 有識者「第三の地」推し

 横浜市立大学付属2病院の再整備を巡り、市の有識者会議が「第三の地」での再整備を推す市長宛て意見書の骨子を整理した。老朽・狭隘(きょうあい)化に代表される課題の抜本的な解消や、現地建て替えに伴う工事の長期化などを考慮したもの。また、急性期1000床の大学病院機能を維持するとの市大の想定は「経営的に容易ではない」とし、中長期的な医療需要などに基づく病床規模の算出を促している。市では年内に正式な意見書を得て、2019年度末までに再整備の大まかな方向性を固めた上で、20年度から具体的な検討に乗り出す構え。
 市大付属2病院は付属病院(金沢区福浦)の674床と、付属市民総合医療センター(南区浦舟町)の726床で合計1400床。建物・設備の老朽化や医学部の定員増に伴う施設の狭隘化、同規模2病院体制による設備投資の重複といった課題を抱えているため、市大は大学病院の機能を1病院に集約して1000床程度にする再整備を検討している。創立100周年の2028年を目安に再整備を進めたい考え。
 一方、市大を所管する市も、7月に有識者会議(市長付属機関の部会、部会長=有賀徹労働者健康安全機構理事長)を立ち上げて再整備の検討に着手。10月18日の会合で市長宛て意見書の骨子を審議してもらった。
 骨子によると、市大付属2病院が抱える課題を抜本的に解消するためには「制約がない第三の地に十分な面積を確保して整備するのが理想的」と提言。また、現地建て替えにかかるコストと工事の長期化を懸念しつつ、足元の再整備だけはでなく「再々整備時に効率よく整備工事ができるポテンシャルを有する土地があるのであれば、第三の土地での再整備も選択肢の一つになる」との認識を示した。
 併せて「市全域からのアクセス性の高いエリア」や「水害、地震等に強い」場所への立地が「望ましい」としている。
 大学病院機能の病床規模については「病院の機能分化」や「平均在院日数の短縮化」が進んでいるため、「急性期1000床の規模を維持するのは経営的に容易ではない」と指摘。その上で「中長期的な医療需要等の根拠に基づく、適切な算出」の必要性を説いた。
 さらに、市大付属2病院の「現行地に必要な医療機能を確保しなければ、地域が困惑する」として、地域医療の継続性に配慮した再整備の検討を要請。急性期から回復期・慢性期への医療ニーズのシフトなども見据えて、「民間移行あるいは市大直営で地域医療の確保等を考えることが望ましい」と今後の方向性を唱えた。

提供:建通新聞社