トップページお知らせ >地方ニュース

お知らせ

地方ニュース

日刊建設工業新聞
2019/11/26

【鳥取】大呂地すべり検討会/年度末にかけシミュレーション

 地すべりの兆候がみられる智頭町大呂地区で、有識者らによる検討会(座長・藤村尚鳥取大学名誉教授)がこのほど開かれ、土砂崩落の規模や範囲をシミュレーションして年度末までに対策工を検討することを決めた。
 大呂山は2004年10月の台風23号により亀裂が生じ、翌05年2月から山頂部の土砂11万立方bを排土。その後18年度にかけて横ボーリングや集水工の追加対策を実施していた。
 ところが、昨年の7月豪雨や台風24号を受けて変動がみられ、今年に入って伸縮計の動きが活発になり、4月には小規模な崩落が発生した。
 地すべり活動の範囲は、山頂部から西側の@〜Bブロックで、斜面幅100〜150b、斜面長は250b。特に最西端のBブロックは今後、積雪や融雪によって危険視される。
 県は現地の監視態勢として地下水の観測と伸縮計9基、カメラを設置する一方、応急対策には斜面下を流れる北股川に仮排水管を布設したほか、県道の寸断に備えて迂回路の林道を補修した。
 現地を調査している日本工営によると、地すべりの西側末端部とブロック範囲が不明な上、地すべり断面の深さも把握し切れておらず、今のところ危険性のある土塊の規模は推定できないという。
 このため今後、年度末にかけて人工衛星からの観測と併せ、航空レーザを当てて地形変化のデータを算出。土砂が崩落した際の流出範囲や規模をシミュレーションする。
 県治山砂防課は「現時点では活動データやメカニズムの検討が不十分」と話しており、次回3月の検討会でシミュレーション結果と対策工の案を提示する。地元大呂地区の代表は、降雪期を迎えて狭い迂回路の機能性を懸念。除雪や待避所を含めた具体の検討を求めた。

日刊建設工業新聞