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建設経済新聞社
2019/11/27

【京都】北陸新幹線(敦賀・新大阪間) 環境影響評価方法書を公表

 独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構(理事長北村隆志氏、神奈川県横浜市中区)は26日、北陸新幹線(敦賀・新大阪間)環境影響評価方法書を公表。方法書は、福井県、京都府、大阪府の府県単位でとりまとめた。
 北陸新幹線の敦賀駅・新大阪駅間の路線(複線)は、敦賀駅を起点とし、新大阪駅を終点とし、延長は約140q。動力は交流2万5000ボルト。最高設計速度は時速260q。
 停車場(駅)は福井県2ヵ所、京都府2ヵ所、大阪府1ヵ所の計5ヵ所で、敦賀駅、新大阪駅のほか、小浜市(東小浜)付近、京都駅、京田辺市(松井山手)付近に設置する計画。車両基地は1ヵ所。
 事業実施区域を含む市町は京都府内で、南丹市、京都市、向日市、長岡京市、宇治市、久御山町、八幡市、城陽市、京田辺市の8市1町。なお京都市は北区、上京区、左京区、中京区、東山区、下京区、南区、右京区、伏見区、山科区、西京区の全11行政区が含まれる。
 概略の路線選定の考え方では、事業のルート決定により駅の設置位置が事業計画上のコントロールポイントとなる。高速走行を可能とするためにルートがなるべく直線となるように計画する。主な線形条件として、最小曲線半径は4000m、最急勾配は15%を基本として計画する。
 活断層や脆弱な地質、主要な河川や湖沼・ダム湖は回避する。やむを得ず通過する場合には通過する延長をできる限り短くする。
 市街地化・住宅地化が進展している地域をできる限り回避する。
 自然公園区域等を回避する。やむを得ず通過する場合にはトンネル構造とするなどできる限り配慮する。
 京都府内のルート検討では、主に以下の事項について考慮する(▽京都市及びその周辺においては、京都市中心市街地、伏見酒造エリアを回避した区域を選定し、基本的にトンネルとするよう検討を行う▽トンネル区間の掘削発生土の受入地を検討し、その輸送に伴う周辺交通等への影響を可能な限り低減するよう検討を行う▽京都市及びその周辺のトンネルは、可能な限り道路等公共用地の下の活用を考慮し、必要に応じて「大深度地下の公共的使用に関する特別措置法」の活用も検討を行う▽文化財に留意して具体的な工事施工法の検討を行う▽京都丹波高原国定公園のルート検討にあたっては、第1種・第2種特別地域を回避し、通貨延長を極力少なくするとともに、事業実施に伴う国定公園の風致景観への影響を極力低減するよう、国定公園区域内における施工により生じる影響を念頭に、ルート選定、トンネル構造を始めとする工法及び構造を検討する。合わせて、環境保全措置の詳細な検討を行う▽市街地における工事施工法や、京都駅、京田辺市(松井山手)付近への入り方について、詳細な検討を行う▽京都市市街地及び周辺地域への地下水への影響等について詳細な検討を行う)。
 駅位置の選定の考え方によると、京都駅について、周辺が高度に市街化が進んでいるため、地下駅とする。また東海道新幹線との接続や、在来線や地下鉄烏丸線、路線バス、観光バスとの乗り継ぎを考慮し、現京都駅付近の地下に設置する。
 京田辺市(松井山手)付近は、概略の路線選定の考え方の通り、高速走行を可能とするためになるべく直線となるようにし、乗り継ぎを考慮した位置で計画する。
 京都府内のルート概要によると、福井県境から京都駅へ至るルートは、京都丹波高原国定公園第1種特別地域及び第2種特別地域、琵琶湖国定公園第2種特別地域を回避したルートとし、主にトンネルで通過する。
 京都駅付近は、京都市中心市街地は回避し、可能な限り道路等公共用地の下の活用を考慮し、必要に応じて大深度地下の公共的使用に関する特措法の活用も検討を行う。
 京都駅から大阪府境へ至るルートは、伏見酒造エリアを回避した区域を選定し、なるべく直線となるよう考慮しつつ、松井山手付近を経て、大阪府境に至るルートとする。
 主要な河川と交差する場合は、橋梁又はトンネルで、出来る限り短い距離で通過する。
 トンネル施工のために、立坑、斜坑及び施工ヤードが必要となる。立坑等は、市街地化、住宅地化が進展している地域への設置をできる限り回避する。
 三方・花折断層帯と交差する場合は、できる限り短い距離で通過する。
 ルートや付帯施設の位置・規模等は、今後、計画を具体化していく。
 高架橋、地上駅、地下駅、トンネルのイメージもまとめ公表した。
 高架橋は幅約12m。地上駅は幅約20m、地下駅は幅約25m(ともに2面2線の場合)。トンネルは山岳トンネルが幅約10m、都市トンネルが幅約10〜13m(ともに複線断面の場合)。
 立坑及び斜坑は、都市トンネルにおいて、約5〜10q間隔で幅10〜30m程度の立坑を設置することを想定。立坑は換気施設として用いる場合には立坑の地上部に建屋を設ける。山岳トンネルにおいては、約4〜7q間隔で幅6m程度の斜坑を設置することを想定している。
 地下駅、立坑には、供用後のトンネル施設内の給排気を行うための換気施設を設置する場合がある。設置する場合には、地下駅、立坑に換気装置及び消音装置を設置し、地上部には建屋や給排気設備を設ける。斜坑に換気施設を設ける場合は地上には設置せず、坑内に設けることを想定。
 高架橋を場所打ち工法により施工する場合は、高架橋を支える場所打ち杭などの基礎を施工し、土留めを設置するなどして土砂を掘削し、躯体コンクリートを打設することにより施工する。工事の実施にあたり、工事施工ヤード及び必要に応じて工事用道路を設ける。
 地上駅を場所打ち工法により施工する場合は、高架橋を支える場所打ち杭などの基礎を施工し、土留めを設置するなどして土砂を掘削し、躯体コンクリートを打設し、駅舎を構築する。工事の実施にあたり、工事施工ヤード及び必要に応じて工事用道路を設ける。
 地下駅を開削工法により施工する場合は、高架橋を支える場所打ち杭などの基礎を施工し、まず土留めを設置し、土留めの変位抑制のための支保工や路面覆工を施工しながら掘削を行う。次に地下駅躯体を構築し、土留め頂部を撤去し、土砂等で埋め戻す。工事の実施にあたり、工事施工ヤード及び必要に応じて工事用道路を設ける。又必要に応じて他の工法も検討する。
 山岳トンネル(斜坑含む)をNATM工法で施工する場合は、機械や発破により掘削を行った後に、支保工、吹付コンクリート、ロックボルト、インバートコンクリート、覆工コンクリートを順に施工する。坑口部からの施工を開始することを基本とするが、山岳トンネルの延長が長い場合には、トンネル本坑の途中箇所に斜坑を設け、斜坑部からトンネル本坑へ掘り進めた後に、本坑を掘り進める。工事の実施にあたり、必要に応じて工事用道路及び坑口部に工事施工ヤードを設ける。
 都市トンネル(立坑含む)をシールド工法で施工する場合は、立坑を構築した後、立坑から発進したシールド機が、掘り進めた部分にセグメント(鋼製、鉄筋コンクリート製の筒)を設置しながら到達立坑に達する。工事中の発進立坑は、セグメントの搬入や掘削土砂の搬出に用い、地上部にはセグメント置き場や掘削土砂の処理施設を設置する。工事後には、立坑及び立坑の地上部に換気施設を設ける場合がある。
 事業実施区域は、敦賀駅〜小浜市(東小浜)付近までは「明り区間又はトンネル区間(山岳部)」、小浜市(東小浜)付近から南〜京都駅付近までは「トンネル区間(山岳部)」、京都駅付近は「トンネル区間(都市部)」、京都駅付近から南〜京田辺市(松井山手)付近までは「明り区間又はトンネル区間(都市部)」、京田辺市(松井山手)付近から南〜新大阪駅は「トンネル区間(山岳部及び都市部)」。