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建設経済新聞社
2020/01/21

【京都】新水道ビジョンの主な事業計画 今後10年で110億円見込む 下水道ビジョンは見直し

 舞鶴市上下水道部は17日、上下水道審議会に新水道ビジョンを報告。下水道ビジョンを後期計画として見直すことも報告した。
 新水道ビジョンは、令和2年3月に策定する予定。計画期間は令和2年度〜11年度の10年。
 水需要の見通しは、今後10年間で約10%減少すると見込む。水需要の減少傾向により、基幹浄水場の施設利用率が4割程度に落ち込む中、上福井浄水場や与保呂浄水場に加え、配水池も耐震化が必要な施設があり、検討が必要な状況。総延長651qの水道管路についても、耐震性がなく老朽化が進んでいるものがある。
 近年の建設改良費は年間10億円費やしているが、今後さらに増額する必要があり、これらの施設等が耐用年数を迎え、老朽化に伴う更新経費等の増加や、人口減に伴う収入減も見込まれるなど、資金不足が予想されると分析。
 新水道ビジョンでは、将来に渡り、安心、安全な水道水を安定的に供給することを基本理念に掲げ、基本施設実現のための具体的施策を定めた。
 内容は、「安全」(安全な水質の水道)(@水源の保全A水質管理の強化B未普及地域の対応)(▽由良川水源や小規模水源の安定確保と水質保持▽有識者の意見を取り入れた由良川塩水遡上対策の推進▽水質検査計画や法令に沿った適正な水質検査を実施▽水安全計画を策定し、水質管理等の強化を図る▽計画的な洗管作業のほか効果的な対策を実施し、濁水の発生を抑制)、「強靭」(災害に強く安定供給できる水道)(@老朽施設の耐震化と更新A経年管路の更新B災害対策の強化)(▽与保呂浄水場の耐震化や小規模浄水場の統廃合▽基幹浄水場や配水池の耐震化▽効率的な管路網を構築し、経年管路の更新と耐震化を加速▽上福井浄水場の水処理施設の縮小や耐震化等の検討▽応急給水施設等の適切な管理、整備と危機管理体制の強化▽水道施設のデータベースと遠隔監視システムの充実(先端技術の導入を検討))、「持続」(健全な経営を持続できる水道)(@官民連携と広域化の推進A施設利用率と有効率の向上B人材の育成と技術の継承C給水サービスの向上と適正な水道料金の設定D再生資源の有効利用と省エネルギー対策)(▽民間委託や広域化による経費の削減▽民間技術者による監視体制や、弁護士・公認会計士の知識活用による料金徴収など、民間委託導入の手法を検討▽北部5市2町における施設の統合や経営の効率化について検討(塩水遡上対策、施設利用率の向上)▽有効な漏水調査を行い漏水の早期発見▽広域的な人事交流や職員の技術向上のための研修参加▽料金収納環境の拡大や広報・広聴の充実▽将来へ負担の先送りをしないよう、概ね4年ごとに適切な水道料金の見直し)。
 将来の財政見通しとして、今後10年間の主な事業計画及び事業費をとりまとめ。与保呂浄水場ろ過池整備は令和7〜9年度に事業費3億円で計画。高区配水池更新は令和3〜5年度に事業費8億円、低区配水池更新は令和10年度以降に事業費4億円で計画。配水管更新の布設替・耐震化は令和2〜11年度に事業費92億円で計画。西舞鶴道路関連の移設は令和2〜4年度に事業費3億円で計画。10年間で事業費110億円を投じる計画。
 経営計画(投資・財政計画)によると、毎年約13億円の資産更新経費が必要となる見通し。9年後には年間約13億円の事業費を確保することで、適切な資産更新を図る。国庫補助を有効活用し財源確保に努めるとともに、企業債は最低限の借入とし企業債残高の縮減を図る。
 一方、下水道ビジョンは、平成27年3月策定から5年が経過し、下水道事業を取り巻く状況が大きく変化してきたことから、後期計画(令和2年度〜6年度)として見直す。
 下水道事業は、平成30年度末に全汚水処理人口普及率が97・1%まで普及し、公共下水道管の建設も令和2年度に予定通り概ね完了する見込み。今後は平成30年度に策定した下水道施設のストックマネジメント計画に基づき、耐用年数を超え、老朽化が著しい汚水処理施設や下水道管路の改築を進める方針。
 水需要の減少による収入の減少、企業債の増加に加え、老朽化した施設の更新などの経費の増加を踏まえ、令和2年4月1日から水道料金と下水道使用料を改定し値上げし、水道料金は平均4・8%、下水道使用料は平均10・6%引き上げる。
 また上下水道事業審では、大手ポンプ場の完成イメージパースも明らかにした。大手ポンプ場建設工事については令和元年10月に入札し、鶴美−丸富特定建設工事JVが落札した。工期は令和2年12月28日。