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建通新聞社(東京)
2020/02/06

【東京】都が建設工事従事者の安全・健康確保推進計画案

 東京都都市整備局は「建設工事従事者の安全及び健康の確保の推進に関する計画」の案をまとめた。建設業での重大な労働災害防止に向け、請負契約における責任体制の明確化や、必要経費の適切・明確な積算と工期の設定など、都が総合的・計画的に講じる施策や具体的な取り組みの内容を盛り込んだ。都民意見の反映手続きを経て行政計画として確定する。
 都内建設業の死亡災害の発生は、長期的に減少傾向にあるものの、全産業に占める建設業の割合(16〜18年の合計)は全国平均(32・9%)を上回る38・5%に達しており、重大な労働災害の撲滅に向けた実効性のある取り組みが求められている。
 こうした状況を踏まえ、都の推進計画(案)では、施策の基本的な方針として@請負契約での責任体制の明確化、適正な請負代金や工期などの設定A安全と健康が確保された施工計画B建設工事従事者と建設業者の安全・健康に関する意識向上C建設業の魅力向上に向けた建設工事従事者の処遇改善と地位向上―を掲げ、都が総合的・計画的に講じるべき施策や具体的な取り組みを示した。
 都発注工事での責任体制の明確化については、元請負人の実質的関与の確認や、一括下請負の禁止や技術者の専任配置、元請負人と下請負人との適正な契約締結の点検を行うなど、法令順守を徹底する。
 安全衛生経費の適切・明確な積算として、工事内容や施工条件などを明示した設計図書に基づき適正に数量を算出するとともに、市場動向を反映させるため資材単価などを定期的に改正(主要資材は随時改正)する。労働市場の実勢価格や、必要な法定福利費相当額を反映した国の公共工事設計労務単価に基づき、労務費単価を設定する。
 適切な工期の設定では、標準的な「準備期間」や「後片付け期間」の日数に加え降雨日など「作業不能日」の設定、休日への「夏季休暇期間」などの追加、工事請負契約設計変更ガイドランに設計変更の実施など、これまでの取り組みを継続する。民間発注工事については、受発注者相互の理解と協力の下、十分な協議を行って適切な工期を設定することを求める。
 建設現場の安全性向上に向け、リスクアセスメントなどの災害事例の収集・分析を充実させ、建設業者・建設業者団体による自主的な好取組事例を都が開く工事現場の危害防止講習会で発表する他、工事完了時に建設業者の安全衛生管理を評価する取り組みを推進する。建設現場での安全点検・パトロールなど建設業者の自主的な取り組みをさらに活発にするため、点検やパトロールを行う者の能力向上、十分な知識経験を持つ者の活用、元請負人と下請負人の連携なども促進する。
 安全・健康に配慮した設計を普及させるため、施工の安全性に配慮した設計に関する先行事例の収集・普及に取り組むとともに、ICT建設機械やUAV(無人航空機)を活用したi―Constructionを推進する。
 一人親方などへの対応として、業務の特性や作業の実態を踏まえた安全衛生に関する知識習得などを関係機関と連携して支援する他、労災保険の特別加入制度への任意加入を積極的に周知啓発する。

提供:建通新聞社