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北陸工業新聞社
2020/02/17

【福井】東村新一福井市長に聞く/−財政再建と大型公共事業−/優先順位つけ、好機逃さず/図書館改修、再開に意欲 

 北陸新幹線の福井延伸までいよいよ3年余り。まちづくりの絶好の機会を迎えるなか、活力と希望に満ちた「誰もが笑顔で暮らせる 希望と安心のふくい」の実現を訴え、昨年末の選挙で4選を果たした東村新一福井市長。新幹線開業に備えると同時に、収支均衡した財政構造を確立するという難しい局面で、引き続き県都の舵取りを託された東村市長に、財政再建の現状や大型公共事業の方向性などを伺った。

 18年2月の記録的な大雪の影響で財政難に陥った市は、18年度から23年度までを対象とする財政再建計画を策定。収支均衡した財政構造の確立と、計画最終年度の財政調整基金残高30億円以上を目標に掲げ、新学校給食センター等整備検討、市立図書館リニューアル、フットボールセンター建設、文化会館整備など8つの大型公共事業の先送りを決めた。
 事業の先送りや縮減、職員給与の減額、市税収入の確保、徹底した歳出管理などが奏功し、18年度決算は一般会計で約18億円の黒字に。「近年は自然災害が多発しているので油断はできないが、ある程度の方向性は見えてきた」と確かな手応えを口にする。
 先送りにした8事業のうち、給食センターなど2事業は19年度に関連費を計上した。給食センターの整備については、「子どもたちに安全で安心なおいしい給食を提供するための事業で、そうそう引き延ばすことはできない」と説明。そのうえで、「既存の設備が古くなっており、延命も難しいうえ、先送りでさらに経費がかかってくる可能性が高い。早期に整備する必要があり、引き続き事業を進めていきたい」と語る。
 一方、老朽化が著しい市立図書館のリニューアル事業では、19年3月に基本計画を策定したものの、19年度の予算化は見送った。現在、財政再建を着実に進めるなかで、「雨漏りで蔵書が濡れてしまうと大変なので、事業の休止にも限度がある」と再開に意欲を示す。先送りの対象外とした新クリーンセンター整備も例に挙げ、「優先順位をつけ、市民生活に影響があるものから早く手をつけていかないと」と指摘し、取捨選択の重要性を強調する。
 財政再建の一方で、3年後に迫る新幹線の福井開業。「100年に一度の好機と捉え、前へ進めないといけない。今できることをしっかりとやっておかないと、この絶好の機会をみすみす逃してしまうことにもなりかねない」とし、「やるべきことは、これまでの延長線上にあると思っている。やみくもに目新しいことに飛びつくのではなく、福井に必要なものをきっちりと整理し、計画的に取り組むことが重要」と先を見据える。
 全国812都市を対象とする「住みよさランキング2019」では、総合第4位にランクイン(県庁所在地で1位)。「教育や子育て環境についても高く評価された。新幹線の延伸までに、福井の良いところをしっかりと全国に発信し、知名度を高めたい」と意欲を見せる。

ひがしむら・しんいち 福井県総務部企画幹などを経て、06年4月に福井市副市長に就任。07年12月の市長選で初当選。今回の予算編成では若手のアイデアも取り入れた。「市民の方々にも違いを感じてもらえるのでは」。

hokuriku