トップページお知らせ >地方ニュース

お知らせ

地方ニュース

建設新聞社
2020/03/16

【東北・宮城】全国初、上工下水一体管理運営の事業者公募開始

 宮城県は13日、全国でも初めてとなる上工下水道の官民一体管理運営方式「みやぎ型管理運営方式」の事業者公募を開始した。運営権者に求める事業費上限額は1653億円と設定。審査は2段階で行い、2022年4月からの事業開始を目指す。
 県は、人口減少に伴う給水収益の減少や、送水管等の更新需要増大などが見込まれるため、持続可能な上下水道の経営確立に向けて、PFIによる官民一体連携運営を導入する。対象は▽水道用水供給事業2事業(大崎広域水道用水供給、仙南・仙塩広域水道用水供給)▽工業用水道事業3事業(仙塩工業用水道、仙台圏工業用水道、仙台北部工業用水道)▽流域下水道事業4事業(仙塩流域下水道、阿武隈川下流流域下水道、鳴瀬川流域下水道、吉田川流域下水道)―の計9事業で、事業期間は22年4月から20年間。
 運営対象の施設は浄水場、処理場などの主要設備や、建築附帯設備などの構造物。さらに、水道用水供給事業では、県の要請に応じて水質計測機器の保守点検・修繕・改築も行う。ただし、管路、マンホールなど設備の一部は県の所管とするほか、土木構造物などの改築は県が担当する。
 事業者の選定は公募型プロポーザル方式で実施。第一次審査では、参加資格要件を確認。その後、プレゼンテーションを交えて具体的な事業方針などを審査・評価する第二次審査を行う。
 第一次審査書類の提出は5月1日まで。第二次審査の書類提出は21年1月13日。同年3月にも優先交渉権者を選定し、その後に県議会への運営権設定議案の提案や厚生労働大臣への許可申請などを経て、22年4月から事業を開始する。
 参加資格は日本法人を取得していること。コンソーシアム構成員の実績に関しては、元請けとして2010年度以降、同一施設で連続3年以上にわたっての@上水道事業で処理能力日量2万5000立方b以上の急速ろ過方式の浄水場施設での運転管理業務A下水道事業で処理能力日量10万立方b以上の標準活性汚泥法と同等以上の処理能力を持つ終末処理場での運転管理業務―を求め、親会社・子会社の実績は認めない。また、代表企業の資本金は50億円以上と定めた。
 運営権者に求める事業費の上限額は、県が運営した場合の総定額1850億円から、削減額197億円(削減率10・7l)を差し引いた1653億円。内訳は、実費精算となる流域下水道事業の改築費用が上限265億円、それ以外の事業費は1403億円などと設定している。
 第二次審査は提案書類とプレゼンテーションによって、事業方針や水質管理などの提案項目を評価。「宮城県民間資金等活用事業検討委員会」で審査し、提案者の名称が記載されない状態で審議を加える。提案項目は200点満点(表参照)で、各委員の項目ごとの得点から平均点を算出する。得点は「優(配点×1・0)」「良(配点×0・8)」「標準(配点×0・6)」と、3段階でそれぞれに応じた係数を乗じる。1項目でも「標準未満」があれば失格にする。
 評価は▽安全・安心な水の安定的な供給と汚水の処理▽新技術の開発・導入、創意工夫などのイノベーション▽県民と地域に対する新たな価値の創出―に重点を置く。価格による競争を回避するため、運営権者額の配分は全体の20lとした。
 運営権者に要求する水準をめぐっては、現在の水質を確保するため、現行と同等以上の管理体制を求める。要求水準違反があった場合はレベル1〜5までの5段階で違約金を設定。断水などの甚大な影響を及ぼす場合を想定したレベル5は、契約解除措置も可能となっている。

 提供:建設新聞社