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建通新聞社
2020/03/18

【大阪】岡ア安志さん(おかざき・やすし=関西高速鉄道社長)

 関西高速鉄道の岡ア安志社長が建通新聞のインタビューに応じ、事業主体として進める「なにわ筋線」について今後のスケジュールや施工上の課題などについて答えた。新年度は「三つの新駅などを一番に急ぐため、土木詳細設計にまず着手し、その後、設計の進捗を見ながら工事を発注していきたい」と述べ、その際は「建設業者の知識や技術力を生かし、各現場の状況にふさわしい発注方式を取り入れたい」との考えを示した。
 2月28日の工事施行認可を受け、当面は3月2日に公告した「中之島・西本町駅部」と「南海新難波駅付近〜新今宮駅付近」の土木詳細設計の入札を3月30日に行い、4月から業務を開始。「まず駅部に着手する」とし、中之島駅部と西本町駅部の土木詳細設計、南海新難波駅付近から新今宮駅付近までの駅部や高架橋などの土木詳細設計を進める。新難波駅以北のシールドトンネル区間の詳細設計は今後発注する。都市計画事業認可は夏ごろを見込む。
 「大半が地下を通るため、周辺に影響がないよう、安全第一で確実に施工していく」と、都心部施工の課題にも向き合う。特に▽堂島川と土佐堀川に挟まれる中で深さ約40bとなる中之島駅付近▽高層ビルが林立する中で施工する西本町駅付近▽比較的浅いJR難波駅へ接続するため、河床との離隔が小さくなる道頓堀川付近▽阪神高速道路の高架など既存のインフラ構造物との近接施工となる新難波駅付近―の施工がポイントになりそうだ。
 課題の解決には、2年前に立ち上げた技術検討委員会を継続して開き、専門家らの意見を求める。また「建設業者の知識や技術力を生かしたい」といい、総合評価落札方式の適用も視野に入れた発注方式の検討を進めている。約3300億円の事業費の「コスト縮減」にも取り組む考えで、「新技術の活用や創意工夫を駆使していく」と意気込む。
 「整備効果」に対する地元や経済界などからの大きな期待も受け止める。「特に梅田から関空に直接乗り入れるアクセス性の向上が一番だ。地下鉄など各路線との鉄道ネットワークの強化、うめきた地区、中之島西部地区などの開発促進の他、鉄道の“空白地帯”である西本町、JR難波周辺の活性化などへもインパクトは大きい」と、新年度から本格的に始まる事業を着実に進めていく考えだ。

提供:建通新聞社