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鹿児島建設新聞
2020/03/31

【鹿児島】ジレンマ 新型コロナで業界は…

 「住設機器が入ってこない…」。新型コロナウイルスの感染拡大による影響が県内の建築現場にも及んでいる。中国等からの部品供給に端を発したもので、各メーカーから納期の遅れや新規受注をストップするアナウンスが矢継ぎ早に流れている状況。住宅の新築現場では、「引き渡しを延ばさざるを得ない」「ネットで類似品を探して急場をしのいだ」という声も。土木関係資材の調達に大きな影響が出ていないのは公共事業にとって救いだが、先行きはいまだ不透明だ。 
(田原謙一・常務取締役(兼)報道部長) 
 「中国全土での新型コロナウイルス感染拡大の長期化により、協力会社からの部品供給に遅延が生じております」。 
 2月下旬以降、大手住設メーカーからこんなアナウンスが相次いだ。トイレやシステムキッチンなど「標準納期で届けられない可能性がある」として、新規受注を当面停止する動きも。県内の建築現場からは、「施主に頭を下げて引き渡し時期を延ばしてもらった」「IHクッキングヒーターが調達できず、インターネットで類似品を探して急場をしのいだ」との声が寄せられ、その影響は日に日に広がっている。 
 一方、公共工事をはじめとする県内の土木現場はどうか。今のところ「土木資材に関する影響はほとんどない」といった声が目立ち、大きな混乱は生じていないという。海外からの部材供給にどれだけ依存しているかで、業種によって明暗が分かれていることが分かる。 
 公共工事への影響の少なさは、受注者からの一時中止措置等の申し出状況にも表れている。国の動きに準じて、県も3月上旬から段階的に対策を講じてきたが、「(テレワークを推進している)県外コンサルタントから数件あった程度」(県土木部26日時点)としている。 
 今後懸念されるのは、専門業を含めた建築関係の工事を手掛ける企業の経営維持だ。建築資材の調達難による工期の遅れや違約金の発生等で支出が増加し、場合によっては連鎖倒産が生じる可能性もある。民間投資の減少を見据えたセーフティネットの構築は急務といえる。 

■迫る総会時期 粛々の様相 
 「建築業界は確かに大変だが、観光業や飲食業はそれ以上の危機的状態。(土木中心で)普通に仕事ができている自社の状況を考えると、何か申し訳なくて…」。異業種の先行きを案ずる建設業の経営者も多い。 
 こうした状況に配慮し、県内のある警備会社は観光・飲食業の従事者を対象に、時給を優遇した警備業務での雇用をサポートする新たな取り組みを始めた。
 建設業界は今後、恒例の総会シーズンを迎える。懇親会の中止を決めた団体や開催時間を午前中に変更した団体もあり、粛々と行われそうな様相だ。 
 国内に限らず、世界規模で負の連鎖が生じている中、県内業界は今後どう対応していくか。企業レベルのBCP(事業継続計画)も今改めて見つめ直す必要がある。 

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