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北海道建設新聞社
2020/04/13

【北海道】昔懐かしドライブインシアターで閉塞感打破 ラコルが提案

 ラコル(本社・札幌)は、地域活性化を企業理念に野外イベントなどを企画制作する。新型コロナウイルス感染拡大の懸念から全国でイベントやライブの開催自粛が広がる中、ロケーションとコンテンツ(野外映画)を融合させた新しいエンターテインメントの形を提案している。横田翼社長は「閉塞(へいそく)感が漂う今だからこそ、車の中で映画を楽しむドライブインシアターなど一昔前のエンターテインメントが支持されるはず」と意欲を見せる。

 横田社長は札幌生まれの37歳。16歳のころからバックパッカーとして世界を転々と歩き、米国の大学を卒業後、日本の大手広告代理店に就職した。東京・銀座を舞台に奇想天外な空中ファッションショーをプロデュースするなどした。

 大学生のころ母国について見つめ直し、クラスメートとの議論の末、国力の弱さを実感。人も金も東京・大阪に集中し、対極で過疎化する地方を何とかしたいと考えた。そんな思いがずっと残り、農業を軸に自身で振興しようと考えた。

 2017年7月7日に起業。社名はローカルのアルファベットを逆から読み「Lacol」とした。会社のロゴは虫眼鏡と青葉、鍵をイメージして作成。既成概念にはない地方の新たな価値を虫眼鏡で見付け、地方創生の鍵となって新たな扉を開き、青葉のように一緒に成長したいという思いを込めた。

 北海道の農業振興を企業理念に掲げる。それまで地域では盛んでなかったサツマイモを美唄市や池田町などで生産し、干し芋に加工することで6次産業を実践。雪蔵の利用でサツマイモの長期保存を可能とし、干し芋を通年販売できるようにした。

 野外映画やイベントの企画も地域の活性化に有効な手法として重要視している。地方で娯楽施設がどんどんなくなる中、「地方の子どもたちが抱く象徴的なエンタメを考えたとき、行き着いた答えが映画≠セった」と横田社長。全国の魅力的な場所を劇場化する手法として野外映画が頭に浮かんだ。

 地元の人と一緒に作るイベントにするため、バルーン型の大型スクリーンを開発した。幅10×高さ7mの大きさで、空気を入れると立ち上がる仕組み。鋼材などを専門業者に頼んで組み上げる必要がなく、安全性も高い。空気を抜いて畳めばボックス単位で輸送するチャーター便に乗せられ、全国どこにでも持ち運べる。

 地方創生に特化したPR型パッケージプログラム「ソラシネ」と、企業の集客やブランディング活動につなげる「アウトドアシアター・ジャパン」の2ブランドを展開する。これまで東京のお台場や奄美群島の徳之島、美唄などでイベントを開催した。映画だけでなく、スポーツやコンサートのパブリックビューイングとしても活用できる。

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、ここ最近はイベントやライブの中止・延期が相次いでいる。そんな中、ラコルが考えているのが昔懐かしい「ドライブインシアター」の全国ツアーだ。

 横田社長は「今なら新しいエンタメ≠ニして注目される。全国ツアーの夢に向かって、まずは北海道で実現させたい」と話している。