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建通新聞社(東京)
2020/04/24

【東京】都 工事現場の新型コロナ防止対策で指針

 東京都は、都が発注した工事での新型コロナウイルス感染症の拡大防止措置と、感染者などが発生した場合の基本的な対応を示した「東京都における公共工事の新型コロナウイルス感染症拡大防止対策ガイドライン」をまとめた。技能労働者の密集を避けるための宿泊施設への宿泊費や、衛生用品の購入費用などで追加費用が必要になった場合は、設計変更で発注者が費用を負担する。技能労働者は自身が感染していることが分かった場合、現場代理人に報告するとともに、現場代理人が保健所に連絡した上で現場を閉鎖することなど、受注者の対応も定めた。
 ガイドラインは、都が4月15日に発表した「東京都緊急対策(第4弾)」を踏まえたもの。測量や調査、設計などの業務についても必要に応じて準拠する。
 感染拡大防止措置を実施する上で追加費用が必要となる場合は、受注者による施工計画書への反映と履行を前提に設計変更し、契約金額の変更や工期の延長などについて適切に対応する考えを示した。
 対象となる費用は4月20日に国土交通省が通知した例を参考にした。
 共通仮設費のうち、労働者宿舎の密集を避けるために近隣宿泊施設を利用した場合の宿泊費・交通費や、現場事務所と労働者宿舎などの拡張費用・借地料などが含まれる。現場管理費では、現場従事者のマスク・インカム・シールドヘルメットなどの購入・リース費用に加え、現場に配備する消毒液・赤外線体温計などの購入・リース費用、遠隔臨場やテレビ会議のための機材・通信費などを挙げている。
 作業従事者などがPCR検査の結果、感染したことが明らかになった場合は、所属する会社を通して該当工事の現場代理人にその旨を伝える。保健所から濃厚接触者として特定された場合も同様の対応を求める。
 現場代理人が感染者を把握した際には、都の監督員と現場代理人の所在地を管轄する保健所に連絡し、安全を確保した上で直ちに現場全体を閉鎖する。その後、受注者が保健所の指導を受けて消毒作業を実施。保健所の了解を得て、発注者と協議した上で工事現場を再開する。感染者と濃厚接触者が現場に復帰するのは、保健所の了解を得た後にする。
 また、基本的な感染防止措置として、技能者や現場技術者を含めた工事現場に従事する全ての作業従事者と来訪者などに、現場入場のに体温測定や体温確認を実施する。37・5度以上の発熱や風邪などの症状がみられたときは入場を制限する。
 加えて、咳エチケットの徹底や手洗いうがいの励行、正しいマスクの着用など基本的な感染防止対策の周知を図る。各現場の状況を勘案しつつ、アルコール消毒液を設置したり、不特定者が触れる場所の定期的な消毒などに取り組むよう促す。
 いわゆる「3つの密」についても、「3つの密」を回避するとともに、該当しない場所でも、人混みや近距離での会話、特に大声を出すことなどを極力避けるよう、各現場に合った取り組みを受注者に求めた。
 感染拡大措置を講じることが難しい現場では、受発注者が協議した上で工事の一時中止など適切な対応を取ることを定めているが、一時中止した場合に必要な経費は、受発注者の責によらないものとして対応する。
 同ガイドラインは「工事の継続を受注者の意に反して推奨するものではない」とした上で、工事を施行する場合は、ガイドラインを踏まえつつ各工事現場の実情に応じて創意工夫し、感染症の拡大防止に努めるよう求めた。

提供:建通新聞社