北陸電気工事(矢野茂代表取締役社長)が発表した19年度連結決算は、売上高が前期比14・2%増の499億3200万円と2期連続増収となり、11年度の連結決算後、過去最高を更新した。
営業利益は同17・1%増の47億6600万円、経常利益が同15・7%増の48億3600万円、当期純利益は同12・2%増の31億2600万円。営業利益、経常利益は3期ぶりの増益で過去最高。受注高も504億5300万円と18年度を超える最高を記録した。北陸新幹線開通後、需要が増えたホテル建設の受注増が押し上げた。
次期は新型コロナウイルスの感染拡大により、不透明な経営環境が予想される中、工事量と利益の確保へ、北陸地域や東京、大阪を中心とした大都市圏での受注・施工体制の維持、事業領域の拡大と新規開拓などの施策を可能な限り遂行。業務の省力化、効率化、高度化で生産性と働き方の改革を推進し、競争力強化に努める。
20年度は、19年度受注高と324億円超の手持ち工事高があるものの、コロナの影響による工事の遅延、製造業における設備投資の落ち込みも想定されることから、連結業績予想では売上高を同3・9%減の480億円に設定。経常利益は、同21・4%減の38億円と減収減益を見込む。
期末配当は、9期連続の増配となる1株当たり25円を予定。
矢野社長は今期の決算について、「3月は、コロナの影響等による資材納入の遅延もあり、若干ブレーキが掛かったが、史上最高の業績を上げることができた。従業員と協力会社の方々が頑張った成果であり、素晴らしい結果」と評価。20年度の業績予想に関しては、「正直難しい。上期中は現場が止まるなど、一定のリスクを考えている。民間の設備投資減速にも影響が出るのではないか」と説明した。
一方、20〜23年度を期間とする中期経営計画「アクションプラン2023」も策定。急激に変化する事業環境下で持続的な成長を追求し、事業構造の変革を図る。経営理念とSDGs、経営計画を統合し「まるごとあんしん 北陸電工」のスローガンの下、中長期的な視点で事業運営を図っていく。
テーマは、(1)「安全の最優先」「生産性と働き方の変革」を実現し、変化に対応した持続的な成長を追求(2)24年度(創立80周年)に売上高600億円、44年度(100周年)に1000億円を目指す―とした。
矢野社長は、中計に掲げる600億円の達成に関し、「当社の一番の経営資源は人。500億円にようやく届いた中だが、50〜60人規模でコンスタントに新規採用している。人の能力アップが大きなキーポイント」とした上で、「北陸3県にプラスし、大都市圏での知名度がさらにアップするよう取り組む」と述べた。
6月26日付の主な役員人事では、津川清範取締役管理部長が常務取締役管理部長に昇格。新任では、平田亙北陸電力執行役員経営企画部長らが取締役に就く。新たに上席執行役員制度も導入する。