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鹿児島建設新聞
2020/07/28

【鹿児島】新知事誕生の期待と不安/経済と災害の復興 その手腕に注目/県土づくりに道筋を

 塩田康一新知事がきょう28日から登庁する。新型コロナウイルス感染症の拡大による県内経済への打撃は大きく、経済産業省や内閣府地方創生推進室等の経歴を持つ新知事の観光振興などへの復興策に手腕が問われる。また、3日からの大雨で県内各地では多くの災害が発生し、復旧に向けた支援も待ったなしだ。さらに、今後の計画的な道路整備等の基本となる新広域道路交通計画を策定する時期でもあり、新たな県土づくりに道筋を示す必要がある。新知事に対する期待を込めて、県勢の課題をまとめた。
(池田孝仁・報道部総括主任)
 新型コロナウイルス感染症拡大による県内経済への打撃は計り知れない。夜の繁華街「天文館」からは人が消え、観光業も瀕死の状態。その影響もあり、農畜産物の売り上げも減少。地域経済は大打撃を受けている。
 以前の状態に戻るまでには、相当の時間がかかることも予想される。そのため、雇用を守る戦いは公的支援をどこまで拡大し、かつ継続できるかにかかっている。
 国や県は、対策費により歳出が膨らんだ。来年度予算編成で公共事業予算に影響が出ないか業界関係者は危惧している。将来への投資も削られないよう新知事には中央での経験、人脈等を生かして対策を打ち出してほしい。

■大雨被害からの復興 
国土強靭化の取組強化を
 7月3日からの大雨による被害も甚大だ。調査中のものも多いが21日現在で、公共土木施設は102億円、耕地関係は37億円、林道・治山は13億円と続く。国土強靭化の緊急対策は2020年度が最終年度だが、全国における豪雨被害を受け政府は骨太の方針で、21年度以降も十分な予算・十分な確保をと明記。来年度予算編成に向け新知事には、災害県鹿児島のために予算獲得に力を注いでほしい。

■新広域道路交通計画
将来像を明確に
 18年3月に道路法が改正された重要物流道路制度の創設を契機に、中長期的な視点から今後の計画的な道路整備・管理や道路交通マネジメント等の基本となる「新広域道路交通計画」の策定が進んでいる。
 県内の高規格・地域高規格道路の整備状況は、未着手区間はあるもののおおむね順調に進んでいる。将来像を明確に描き、3県架橋や桜島架橋、南薩横断道路、伊作トンネル、高隈トンネル等の要望をどのように形にするのかに注目が集まる。

■指宿スカイライン
U期区間の線形改良を
 伊藤祐一郎知事時代の15年度末、国土交通大臣から指宿有料道路の事業変更の認可を受けた。料金徴収期間を42年4月3日まで延伸し改修の事業費190億円を確保。三反園訓知事の誕生により、山田ICフル化と料金所のETC設置、老朽法面対策は進んだが、U期区間(頴娃IC〜谷山IC間)の線形改良は手付かずの状態。国道226号が被災した時の代替道路としての期待と、公共残土の発生で旧木材港区埋め立てにも一役買う可能性もあり、新知事の決断が待たれる。

■新体育館・サッカー場
鹿児島市との連携必要
 老朽化している県総合体育館とサッカー等スタジアム、路面電車観光路線の整備は、知事が交代するたびに計画が二転三転。建設場所や財源、事業スキームなどじっくりと協議する必要があり、鹿児島市との連携なしで前進しない。じっくりと県民の意見を聞く場所をつくることで、一つ一つ課題をクリアしていく必要がある。

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