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建設経済新聞社
2020/08/20

【京都】綾部市向田町の小代呂池改修 総事業費は約1・3億円

 京都府は、綾部市向田町で府営農村地域防災減災事業として、農業用ため池「小代呂池」の改修に乗り出す。
 対象の小代呂池(綾部市向田町小代呂、貯水量は約2万1000m3)は、設計洪水流量に対する洪水吐の流下能力が不足し、堤体の余裕高不足も伴い、豪雨時に破堤の危険性がある。このため、破堤による災害の未然防止、洪水吐機能の回復を目指し、堤体と洪水吐施設及び取水施設を改修する。
 改修計画によると、小代呂池の取水施設を改修補強するとともに緊急放流機能を付加する。取水孔はスライドバルブで、上位孔はφ200o×1孔、下位孔はφ300o×1孔(緊急放流孔を兼ねる)、斜樋は鋼管φ300o×L1・7m、底樋はヒューム管φ800o(コンクリート全巻立)×L19・59m(開削工法による)で、止水壁及び泥吐施設を設ける。洪水吐は三面張コンクリート水路(形式は越流堰式)、水路幅9・0m。法尻からの漏水に対しては傾斜遮水ゾーン型工法による補強を行う。堤体は余裕高の確保と法面保護工(上流は張ブロック、下流は芝付工)を行う。
 小代呂池は、現況(均一型、堤高4・77m、堤長110・0m、堤体の余裕高0・45m、天端幅3・0m)から、(傾斜遮水ゾーン型、堤高5・50m、堤長137・2m、堤体の余裕高1・23m、天端幅3・1m)とする計画。
 事業実施にあたっての主な環境配慮項目は、@工事の際に池内が完全に乾燥してしまうと生物が死滅してしまうため、一部箇所に水を残す等A小代呂池の東側に水深の浅い環境(浅場環境)が広がっており、同所の地形を可能な限り残存させるB施工時に他地区から土砂を持ち込む場合は繁殖力の強い外来植物が含まれていないか確認する。堤体上を大規模に改変する際は「表土の剥ぎ取り→保管→覆土」を実施することができれば外来種の新規侵入を防ぎ、植生の早期回復が期待できるが、覆土の実施が困難な場合は植生が自然に回復するまで経過を観察するC小代呂池南側の堤体で確認されたカナビキソウについて、可能な限り確認箇所周辺の改変を避ける等Dカエル類等の生息場所となる樹林地の改変を最小限に留めるとともに、樹林地等の陸域と池間の連続性を維持するE工事の際は池への流入水路を可能な限り改変せず現状のまま維持するほか。
 総事業費は約1億2705万円を見込む。内訳は、工事費1億0650万円、測量試験費1320万円(ボーリング、土質試験。令和2年度実施設計費)など。
 総費用総便益比(B/C)は2・01を見込む。
 令和2年度に測量調査設計を進め、令和3年度に取水設備改修を実施する。令和4年度・5年度に堤体工、令和5年度に洪水吐工改修を実施する予定《工程表の平成32年度は令和2年度、平成33年度は令和3年度、平成34年度は令和4年度、平成35年度は令和5年度に読み替え》。
 なお綾部市は、平成29年度に小代呂池調査設計業務をサンスイコンサルタントで実施した。
 京都府中丹広域振興局は17日、令和2年度府営農村地域防災減災事業小代呂池地区実施設計業務を指名競争入札で通知。26日に開札し、担当業者を決める。設計工期は令和3年3月31日まで。